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CFD販売(メルコグループ) 光田昌弘社長
2008/12/22 16:51
週刊BCN 2008年12月22日vol.1265掲載
“一人勝ち”しても意味がない
マザーボードやCPU、グラフィックボードを自分で揃えてパソコンをつくる。これがDIYパソコンと呼ばれるジャンルだ。ネットゲームや動画編集、3DCGなどユーザーの楽しみ方はさまざま。DIYパーツ販売を手がけるCFD販売社長の光田昌弘は、「自分なりの用途に合わせてパーツを選べるのが最大の魅力」と話す。故障したときメーカーに頼らず、自分で部品交換できるのも結果的に維持費の低減につながる。なにより自分だけのパソコンを持つことは楽しい。CFD販売はパーツ卸を手がける一方で、「玄人志向」ブランドで独自の商品展開を推し進めてきた。サングラスをかけ、いかにもマニアックな雰囲気を醸し出しているキャラクターが印象的だ。社長に就任した2000年初めから玄人志向の人気が高まり、今ではDIY界の老舗ブランドとしての地歩を固めつつある。トップシェアベンダーを表彰するBCN AWARD 2008ではグラフィックボードとドライブケースの2部門でトップを獲得。
しかし、DIYビジネスに課題は多い。光田が最も懸念するのは市場全体の伸び悩みだ。DIYベンダーやDIYに強い専門店の苦戦が続き、10月にはついに東京・秋葉原の大手専門店の経営悪化が表面化した。2002-2003年頃、玄人志向も危機を味わった。人気の高まりで商品点数や生産量を増やしすぎて余剰在庫を調整。ここ数年は商品点数の絞り込みや、「セルフサポート」と呼ばれるユーザー同士のコミュニティのなかから本当に売れる商品をつくりあげるノウハウの蓄積によって「収益力あるビジネスに転換してきた」と自負する。ただ、まわりを見渡せば市場のシュリンクに直面しており、状況は以前より深刻だ。限られたDIY市場で「“一人勝ち”しても意味がない」と、縮小均衡に陥らぬよう自戒する。
「ユーザーや販売店がメリットを感じる仕組みをDIY業界全体で考えるときがきている」--。ユーザーは、マザーボードやCPU、パーツなど他社製品との組み合わせのなかで玄人志向を活用している。また、販売店はユーザーとのインタフェースとして、なくてはならない存在。ライバル社とは切磋琢磨しながらも、「DIYはなくさないという目標は同じはず」と、緊張関係を保ちながらも市場創出に向けた共闘を呼びかける。(文中敬称略)
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