Scene

ジャングル、売り方を多様化したパブリッシャーになる

2008/12/01 16:51

週刊BCN 2008年12月01日vol.1262掲載

 大手出版社を辞めてコンシューマ向けパッケージソフトの販売会社を2000年に立ち上げた。ITバブルがはじけてしばらく続いた不況下でも着実にビジネスを伸ばしてきた。国内外のソフト開発ベンダーからは“安売りしない”ソフトウェアパブリッシャーとして評価が高い。激しい価格競争のなかにあって、高価格帯の商材を重視することで粗利益を確保し、開発元への利益還元に努める。

“安売りしない”パブリッシャー

――ジャングル 高田晃子 社長

 だが、ソフトビジネスは、今大きな曲がり角に差しかかっている。ネットを見渡せば無料で手に入る高性能なフリーソフトが溢れ、Google型のウェブサービスも増える。これまで稼ぎ頭だった携帯電話関連のソフトも、携帯電話そのものの販売台数の落ち込みが響く。「パブリッシャーも売り方をより多様化させる必要がある」とし、今年2月、SNS型の写真投稿サイト「Zorg(ゾーグ)」を傘下におさめた。パッケージ販売とウェブサービスのZorgを連携させ、ビジネスを伸ばすためだ。

 露出の異なる複数の写真を合成し、より自然に近い絵をつくりだすフランス製のソフト「Photomatix Pro3.0」をZorgで先行ダウンロード販売したところ「予想を上回る売れ行き」を記録。2万円近い価格帯のソフトながら、写真好きなユーザーが集まるZorgという“売り場”にマッチした。目新しさもあって、写真関連のブログなどで話題となる。今年10月にパソコン販売店に並んだときは、「指名買いのユーザーが多数、店頭に足を運んだ」。本格販売の前段階で商品の認知度を高め、ニッチながらも「着実に売れるマーケティング」と認識することとなった。

 今年度(2009年6月期)から中期経営計画をスタート。昨年度12億円の売上高を3年後に2倍余りに増やすチャレンジングな計画だ。既存のパッケージ販売とウェブサービス、モバイルサービスの三つを柱にビジネスを再構築。これらをクロスさせ、複合的なマーケティングの展開を急ぐ。ソフトの開発元は技術には強くても、マーケティングに弱い傾向がある。パブリッシャーとして「開発元に注文をつけたり、逆に向こうから要望を受け入れたり…」。どことなく、出版社の編集者と筆者の補完関係に似ている。

 景気の悪化が懸念されるが…と水を向けたら、「もともとITバブルがはじけた後に伸びてきた会社。不況は慣れっこ」と、強気な答えが返ってきた。(BCN 安藤章司)
  • 1

外部リンク

ジャングル=http://www.junglejapan.com/