店頭流通

拡大続く デジタルフォトフレーム 製品の差異化が必要との声も

2008/11/10 16:51

週刊BCN 2008年11月10日vol.1259掲載

購入層幅広く、デジタル初心者中心

クリックで拡大  デジタルフォトフレームの人気が続いている。もともと2008年に入り、販売台数は増加傾向だったが、ソニーが市場に参入したことで一気に拡大した。最新動向や売れ筋モデルを「BCNランキング」で探る。

大手メーカー参入で認知度高まる

 「BCNランキング」で、08年1月の販売台数を基準にした月ごとの伸び率では、3月が204.1%、6月は413.7%、直近の9月は542.7%とその勢いは加速している。

 市場が伸びた背景にはソニーの参入がある。ソニーは5月に3機種の新製品を投入。デジタルフォトフレームは、一般の人には馴染みが薄い製品だったが、「ネームバリューのある大手メーカーが入ってきたことで認知度が高まった」と、瀧井靖夫・ビックカメラ有楽町店DPE写真工房主任は説明する。

 デジタルフォトフレームは、「BCNランキング」で調べるとソニーをはじめ、テクタイト、トランセンド、ポラロイドなど、32社ものメーカーが製品を販売。市場では価格競争が始まっている。店頭では「3000-5000円水準で値引きされている」(瀧井主任)という。

「1万以上2万円未満」が人気

クリックで拡大 具体的にはどれくらいの価格帯の製品が売れているのか。「BCNランキング」の月次データで価格帯別の販売台数の構成比率を調べたところ、9月は「1万以上2万円未満」が68.2%とトップで、「1万円未満」が20.3%で続く。

 「1万以上2万円未満」は年初から60%以上を獲得。「1万円未満」は6月から急速に比率を高めた。一方、2万円以上の高額製品はあまり売れておらず、デジタルフォトフレームの価格帯は現在、この二つが中心になっているといえるだろう。

 ビックカメラ有楽町店では「1万円までの製品は家族などへのプレゼントとして購入する人がほとんど。1万以上2万円未満の製品は自分で使う人や、店のPOP(店頭広告)など業務用で購入する人が多い。自分が求める機能と価格をポイントに製品を選択している」(同)と話す。購入層は30代を中心に40-50代までと広く、男女の比率はほぼ同じで、「デジタル機器に詳しくない購入者が多い」(同)という。

ソニーがトップを走る

 では、店頭ではどんな機種が人気なのだろうか。「BCNランキング」の9月の機種別販売台数シェアのトップ5をチェックしてみよう。

 1位はシェア22.4%で、ソニーの「DPF-D70」。10月21日にBCNが集計した市場推定価格(以下同)では1万8700円だ。次いでトランセンドジャパンの「TS1GPF710C」が、10.9%で2位になった。市場推定価格は1万1600円。3位は8%でテクタイトの「SDP-708MB」で、市場推定価格は1万9000円だ。

 メーカー別の販売台数シェアでは、5月からソニーのトップが続いている。9月も32.2%で1位を獲得した。9月のデータで2位になったのは15.8%でテクタイト。5月から台数を増やし、その後は16%前後のシェアを維持している。3位はトランセンドジャパン。6月以降シェアが上昇し、9月は13.6%まで伸ばした。

 ソニーは3月にデジタルフォトフレームの新製品を発表後、4月には予約分で23.3%、発売月の5月には54.3%までシェア拡大したが、勢いは鈍化している。一方で、テクタイトなどのメーカーが徐々にシェアを伸ばしており、その差は縮まってきている。

 そろそろ年末商戦が本番を迎えようとしている。瀧井主任は「1万円未満の小型タイプはクリスマスの贈答用などで、まだまだ伸びしろがある。1万円以上では機能はもちろん、最近出てきたデザイン性が高い製品やカラーバリエーションのあるモデルが人気になる可能性がある」とみている。

 しかし、スライドショーやカレンダー表示などはどの製品も搭載しており、機能的には横並びの状況。「そろそろ機能面での差異化が必要な時期にきているのでは」(同)といった声も聞かれるようになってきた。(米山淳)
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