Scene
サイバーリンク、DVD再生ソフトをメーカーに売り込む
2008/11/03 16:51
週刊BCN 2008年11月03日vol.1258掲載
「売り子」から「パートナー」へ
―サイバーリンク 尾藤伸一 社長市場環境を見ると、策定中の無線LAN規格IEEE802.11nに対応したデバイスが続々と登場している。ネットワークの高速化を背景に、主流になるのは高品質音声や高画質、臨場感を前面に出したコンテンツだ。
HDデジタルビデオカメラで自ら撮影した動画や音楽を楽しむ家庭が増えている。デジタルライフは着実に浸透しつつある。「PCのCPUの性能向上、ネットワークの高速化、OSなどソフト、デバイスの進化、全てがつながって、新しいメディアの形が見えてくる。2010年は進化が形として現れ始める節目の年。強みを発揮するのは、まさにその時代だ」と尾藤伸一社長は意気込む。サイバーリンクはさまざまなフォーマットの準拠だけでなく、「PowerDVD」、動画編集ソフト「PowerDirector」、コンテンツ管理ツールにも注力する。また、「タッチパネルPC」のユーザーインタフェース技術も提供している。この技術が、海外の大手PCメーカーの製品に採用されたのだ。こうした包括的なマルチメディアソリューションが同社の強みとなっている。
キーとなる2010年に向けて、同社は製品を日本メーカーに売り込む、単なる「売り子」から「パートナー」へと脱却を図る。「PC専業メーカーは数少ない。その一方で、家電とPCとの境目はなくなり始めている。まず製品ありきの『プロダクトアウト』と市場ニーズをくみ取ったソリューション開発『マーケットイン』をコントロールしながら提案をする、『パートナー業』として、メーカーとともにさまざまなデバイス(X)を含めた『PC+X』の可能性を探っていきたい」との狙いがある。
「マーケットイン」において、リテール販売は重要な位置づけとなる。今年、専門チームをつくり、本格的にリテール戦略を開始した。消費者のナマの声を聞き、メーカーに情報をフィードバックする。見えにくい将来のニーズを、ともに生み出す重要なステップだ。
「大手量販店の引き合いが多く、一部流通のスピードが追いつかないところも」という、うれしい悲鳴も。同社は再生ソフト、編集ソフトともに7割のシェアを目指す。それが、マーケットに向けて具体的な提案を主張できる数字だからだ。(BCN・鍋島蓉子)
- 1