店頭流通

インターネット 編集ソフト年内投入へ 年間5万本販売目指す

2008/10/20 18:45

週刊BCN 2008年10月20日vol.1256掲載

 DTM(デスクトップミュージック)ソフト開発のインターネット(大阪市、村上昇社長)は、人気の動画投稿サイトと連携することでビジネスを伸ばす。年内をめどに動画投稿サイト用の編集ソフト「ニコニコムービーメーカー」の有償版、今年度(2009年3月期)末から来年度にかけてボーカル(歌い手)ソフト第2弾の製品化を目指す。動画投稿サイトのユーザーをメインターゲットとする製品を投入することで事業を拡大させる。ムービーメーカー有償版は発売後1年間で5万本の販売を見込む。

 同社はDTMソフトの老舗メーカーで、今年7月にアーティストのGacktさんの声を元に制作したボーカルソフト「がくっぽいど」を製品化。先行するクリプトン・フューチャー・メディア(札幌市)の電子の歌姫「初音ミク」と同じヤマハの歌声生成エンジン「VOCALOID(ボーカロイド)」を使用したもので、VOCALOIDソフトとも言われる。がくっぽいどはBCNランキングでも上位を占め、好調な滑り出しを見せた。

 今年3月には、動画投稿サイト「ニコニコ動画」に動画を投稿するための編集ソフト「ニコニコムービーメーカー」の無償版をネットなどで配布。9月時点でユニークユーザー数が20万人近くに達した。村上社長は、「動画編集ソフトの需要の大きさを裏づけた」と判断し、年内をめどに機能アップした有償版の発売を予定する。価格は1万円以下に抑える方向で検討しており、幅広いユーザーの取り込みを狙う。

 無償版の開発では、ニコニコ動画を運営するドワンゴグループからの資金的な支援は一切受けていない。有償版を投入することで「ムービーメーカーにかかった一連の開発費用の回収」を目指す。ニコニコ動画用の動画編集では、ネット上に無償ソフトがあるが、ある程度のソフトウェアの知識が必要であるなど敷居が高かった。有料のパッケージソフトは他社にもあるが、ニコニコ動画に十分に対応できなかったり、制作した動画の画質が悪いなどの課題があった。

 有償版のムービーメーカーでは、ニコニコ動画に標準で対応し、高精細な動画を制作できるH.264技術を採用する。「高画質を追求するニコニコユーザーの要求を満たす」仕様にすることで満足度を高める。無償版では紙芝居風の動画しか制作できなかったが、有償版では本格的な映像を制作できる。ニコニコ動画は9月末時点のユーザー登録数が930万件に達する国内最大の動画投稿サイト。ユーザー数の多さと、無償版の引き合いの強さから見て、有償版は発売後1年間で5万本の販売を見込む。

 VOCALOIDでは「がくっぽいど」に続き、第2弾を今年度(09年3月期)から来年度にかけての製品化を目指す。次期製品の詳細は非公表だが、「誰でも知っている著名な女性アーティスト」の声を元に制作することも視野に入れる。今年度の売り上げは、がくっぽいどやムービーメーカー有償版を投入することで前年度比で1.5倍を見込む。来年度もVOCALOIDなど動画投稿サイトで人気の商材を投入することで売り上げ増を狙う。
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