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話題のミニノートPCは何が違う? 用途からみた主要機種のスペック比較

2008/10/13 17:00

週刊BCN 2008年10月13日vol.1255掲載

 低価格で軽量。片手でも持ち運べる「ミニノートPC」に注目が集まっている。最近は国内外のメーカーが次々と新製品を発売し、ユーザーの選択肢も広がってきた。そこで、主要4モデルの特徴を比較してみた。

微妙に異なる基本スペック

 今回取り上げたのは、ASUSTeK Computerの「Eee PC 901-X」、日本エイサーの「Aspire one」、日本HPの「HP 2311 Mini-Note PC」、工人舎の「SA5 KL08A」。価格が約6万円の4機種を選んだ。最初に、処理速度や記憶媒体の容量など、基本性能を比べてみよう。

 基本的な性能として、CPUの処理速度とメモリの容量があげられる。4機種のなかでは、「Eee PC 901-X」と「Aspire one」が1.6GHzで最速。メモリも標準で1GBを搭載しており、動作スピードの速さならこの2機種だ。

 記憶媒体については、HDDとフラッシュメモリを使ったSSD(Solid State Drive)を搭載したモデルとがある。「Aspire one」と「HP 2311 Mini-Note PC」はHDDを搭載し容量は120GB。ディスク上にデータを多く保存できる。

 一方、SSDを使っている「Eee PC 901-X」の容量は12GB。動作速度が速く、衝撃などにも強いという利点はあるものの、容量は小さめだ。Eee PCではインターネット上に20GBの無料保存スペースを用意しており、こうしたサービスの使いこなしも必要。そのほか、外付けHDDやUSBメモリなどの外部記憶装置も使って、データの保存をしていく必要があるかもしれない。

 ディスプレイの大きさについては、「Eee PC 901-X」「Aspire one」「HP 2311 Mini-Note PC」は、8.9型のワイド液晶を搭載しており、操作が比較的容易だ。同じ8.9型でも「HP 2311 Mini-Note PC」は、解像度が1280×768ドットと今回の4機種の中では最も高いため、より高精細な表示が可能となっている。

 持ち運ぶ頻度が高いミニノートPCだけに、重さも選択上の重要なポイントだ。1.1-1.2kg程度の機種が多いなかで、「SA5KL08A」は1kgを切っており、手軽に持ち運べる。また、バッテリーの駆動時間も重要だ。この点では「Eee PC 901-X」が約8.3時間と最長。安心して使える。

用途からみた各モデルの特徴

 こうしてみると、4機種は性能面でかなり異なっていることが分かる。では、それぞれどんな利用の仕方が考えられるだろうか。

 まずは「Eee PC 901-X」。画面の大きさや処理速度、バッテリーの駆動時間は優れているが、記憶媒体の容量は少ない。そのため、外出先でインターネットやメールをチェックする端末といった使い方を考えていて、なおかつ長時間利用したい人には向いている機種だろう。

 「Aspire one」は、画面が大きくて屋外でも見やすい。また、処理速度が速く、記憶媒体の容量も大きい。ただし、バッテリーの駆動時間が3時間しかない。そういう意味では、公園やカフェなどの屋外で、ちょっとした時間使うことを想定していて、操作性とデータの保存量を両方とも重視したい人向けと言えるだろう。

 「HP 2311 Mini-Note PC」は、画面が大きく精細だ。ある程度の処理速度もあり、記憶媒体の容量が大きい。一方、バッテリーの駆動時間は4機種では一番短い。こうした点を考えると、画像や動画を、電源が確保できる外出先などで、キレイな画面で数多く楽しみたい人にマッチしている。

 「SA5KL08A」は、画面の大きさや処理速度がほかの機種より低くても、「とにかく軽い機種がいい」という人であれば第一候補になるだろう。

通信回線契約などは別途必要

 価格と小型・軽量が魅力のミニノートPCだが、特に価格を抑えるために機能を絞っている。ミニノートPCは、インターネット閲覧やメールのチェック端末としての側面が強いため、例えば、表計算ソフトなどは基本的には付属しないのだ。利用するには自分で別途インストールしなければならない。

 また、外出先や屋外でインターネット接続するにはデータ通信カードを販売する携帯電話やPHS会社、プロバイダとの契約が必要だ。ミニノート PCは無線LAN機能を搭載しているものも多いが、屋外利用するには、こちらもサービス提供会社に申込みが必要。こうした点はミニノートPCに共通する注意点となっている。(米山淳)

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