Scene
マイクロソフト、Office使う楽しみをもう一度伝える
2008/09/15 18:45
週刊BCN 2008年09月15日vol.1251掲載
ライバルは他社ではなく自社製品
―マイクロソフト 横井伸好インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員本部長
狙いは、「コンシューマに『Office』の魅力を再認識してもらうため」。「Office」製品を担当して10年のベテラン、インフォメーションワーカービジネス本部本部長を務める横井伸好の表情には力がこもっている。それもそのはず。このPR戦略にかなりの費用を注ぎ込んで「Office」の家庭利用を訴えるつもりで、その規模は「Windows」や「Office」の新版発表が最も華やかだった1990年代後半と同じ。ほぼ10年ぶりの大々的なプロモーション展開を、10月下旬に開始するつもりだ。
「Office」という製品名称から、一般的にはその利用範囲はビジネスだけと限定して考える。だが、横井はそうは思っていない。「娯楽や趣味でも十分使える、楽しみを与えられるツール」だと10年間思い続けている。
「個人利用と家庭での利用は表裏一体。コンシューマ市場で販売が伸びれば、企業マーケットでの販売本数増加にも結び付く。かつて、企業での利用価値を前面に押し出したことで、個人の販売が伸び悩んだことがあった。今回は手薄だった家庭で『Office』を使う楽しみをもう一度伝え、コンシューマ市場で最新版の販売を伸ばしたい」
マイクロソフトは、OSとともにオフィスソフト分野でも圧倒的なシェアを握る。WindowsPCには、ほぼ全部にOfficeが入っている状況で、ビジネスを成長させるうえでライバルメーカーからのシェア奪取にさほど意味はない。「競合として意識しているのは、他メーカーでもなく、無料オフィスソフトでもない。自社製品の前版だ」と横井は言い切る。ライバルはあくまで自分自身。「『Office』の古いバージョンから、新版へバージョンアップしてもらうためにはどうすればよいか」。数年前に比べてバージョンアップのメリットをユーザーは感じていないのは確かで、横井も「それは実感している」。10年ぶりの大型PR戦略でどう切り開くか。先を見据える表情は自信の現れとみえる。(文中敬称略)(BCN・木村剛士)
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