店頭流通
ノートPC 三つ巴のシェア争い 小型・低価格モデルに存在感高まる
2008/09/01 16:51
週刊BCN 2008年09月01日vol.1249掲載
■NEC「LL750/MG」が1位
7月の機種別販売台数シェアトップ10で1位を獲得したのは、NECが4月に発売した夏モデル「LL750/MG」で6.7%。画面上の文字やデスクトップのアイコンを拡大・縮小できる「ズームボタン」を搭載するほか、USBポートを3側面に装備するなど、使い勝手を追求した。キー面は手前から奥にホワイトからシルバーにグラデーションを施されており、斬新なデザインが異彩を放つ。2位は、富士通が4月に発売した夏モデル「FMVNFA50」で5.5%。「NFシリーズ」のなかで、CPUにCore 2 Duoを搭載するタイプのエントリーモデルだ。「FMVサポートナビ」「トラブル解決ナビ」など、操作に困った際にサポートソフトをすぐに呼び出せる「サポートボタン」を備える。
この2機種は、発売直後の5月から僅差で競り合っている人気モデル。ちなみに6月は「FMVNFA50」が1位だった。
3位は、NECの「LL550/MG」で4.9%。「ガーネットレッド」「ベリーブルー」など6色のカラーバリエーションから選べる。「FeliCaポート」も備え、電子マネー決済にも対応した。3機種とも画面サイズは15.4型ワイド。
■NEC、東芝、富士通の3社が混戦
今年に入ってからの各メーカーの動きをみると、台数ベースではNEC、東芝、富士通の3社が20%前後で接戦を繰り広げている。7月は1位がNECで19.1%、2位が東芝で18.5%、3位は富士通で16.6%。なお、7月はASUSTeK Computer(ASUS)が小型ノートPC「Eee PC」の新モデルを発売してシェアを12.5%まで伸ばし、4位に食い込んだ。一方、それまで4位だったソニーは11.7%で5位に後退した。
金額ベースでみると東芝、富士通、NEC、ソニーの4社が15-25%前後で抜きつ抜かれつのデッドヒート状態。ASUSは7月に6.1%まで上昇したものの、低価格PCで攻勢をかけているだけに、金額では高いシェアを確保するのは難しかった。
■存在感高まる小型ノートPC
いま注目を集めている「小型ノートPC」の動きをみておこう。ここでは「画面サイズが10型以下で税別の平均価格が10万円以下のノートPC」と定義しておく。ASUSの「Eee PC」発売によって一躍脚光を浴びたカテゴリーだ。先行してこの分野に特化する工人舎の小型ノートPCもこのクラス。日本ヒューレット・パッカードが「HP mini」を投入したり、また日本エイサーが「Aspire one」で新規参入したりするなど、このところ活気を帯びているマーケットといえるだろう。ノートPC市場全体で小型ノートPCが占める割合の推移をみると、10万円以下という価格から、台数が大きく伸びて、金額が後からついていく格好となっている。
2007年12月までは台数・金額ともにノートPC全体の1%にも満たなかった。08年1月に初代「Eee PC」の発売で台数構成比が3.8%に拡大したものの、金額では1.6%にとどまっている。その後、7月には「Eee PC」新モデルの発売によって、台数16.6%、金額8.6%と成長。存在感は台数・金額とも徐々に大きくなってきた。(井上真希子)
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