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キヤノンMJ、デジ一眼向け家族層に軸足、安定客つかむ

2008/09/01 18:45

週刊BCN 2008年09月01日vol.1249掲載

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)のカメラ販売部隊では、2008年のデジタル一眼レフカメラ市場(国内)は前年に比べて約8%増え128万台に拡大するとみている。この販売台数は、銀塩一眼レフカメラの全盛時と同水準だ。“上げ潮”のように見えるデジタル一眼レフ市場だが、同社では「2010年の150万台が、ひとつのピークになる」(林康宏・イメージコミュニケーション企画本部長)と分析。この分析に基づき、「これまでの伸びを下支えしたハイアマ層に加え、ファミリー層をつかむ必要がある」と判断、将来の安定顧客をどう獲得するかに戦略の軸足を移しつつある。

家族層に軸足、安定顧客つかむ

―キヤノンマーケティングジャパン 林康宏 イメージコミュニケーション企画本部 本部長

 デジタル一眼レフカメラの購入層は、銀塩一眼レフから買い換える「団塊世代のハイアマ層」が主流だった。ところが、2年ほど前から同社とニコンがエントリー機を投入して激戦を繰り広げて以来、状況が一変。「デジタル一眼レフは、一家に1台以上の時代になりつつある」。事実、キヤノン機の購入層は56%を「夫婦・ファミリー層」が占め、年齢層も30─40代が64%と、若年化している。

 キヤノンは今年、「EOS Kiss X2」(3月)に続いて「EOS Kiss F」(6月)と、エントリー機を相次ぎ投入した。後者の「F」はターゲットとする「Family、Friendly」を意味する。

 キヤノンMJによると、キヤノンのデジタル一眼レフ購入者は、「コンパクトデジカメからのステップアップ」が49%に達している。つまり、「コンパクトからデジタル一眼に移行する際の入門機を用意する必要があった」わけだ。そこで「X2」と並ぶ入門機として投入されたのが、「F」である。キヤノンのデジタル一眼全体の約2割を占める「X2」は、「普及機」という位置づけだ。このエントリー2機種は、実売価格が10万円を切り、コンパクトからの買い換えを促す推進力になっている。

 「X2」と「F」を発売したことで、従来のプロ機、ミドル機にエントリー機が加わり、「どんな層にも気軽に楽しめる選択肢が広がった」と自信をみせる。BCNランキングによると、今年上半期(1─6月)のデジカメ(レンズ交換型)部門のベンダー別シェアでは、1位のニコンとの差はわずか0.12ポイント。激しいトップシェア争いのまっただなかにある。エントリー層を取り込むことで、キヤノンの巻き返しが始まりそうだ。(BCN・谷畑良胤)
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外部リンク

キヤノン=http://canon.jp/