店頭流通
キヤノン まるでピクニック用バスケット? コンパクトなフォトプリンタ登場
2008/08/04 18:45
週刊BCN 2008年08月04日vol.1246掲載
「乳幼児のいるママ」がターゲット
ママと子どものためのプリンタを「『CP770』は、ママと子どものためのプリンタ」。そう口をそろえるのはキヤノン・イメージコミュニケーション事業本部・DC事業部の吉地大さんと森部亜子さん。ともに「CP770」の企画に携わったスタッフだ。「『CP770』は、デザインや仕様から、箱や説明書にいたるまで、一貫してママと小さい子どもにリビングで楽しく使ってもらえるような、わくわくする製品を目指しました」と森部さんは語る。
そもそも、なぜママがターゲットなのか? 「まず、現在のコンパクトフォトプリンタのユーザー像を調べたところ、家族や子どもの写真を印刷するという用途が突出して多かったのです。なかでも、日本では6歳未満の乳幼児を対象とするものが、写真を撮る枚数も印刷する枚数も多い。そこで『乳幼児に一番カメラを向ける人は?』と考えたとき、今回のママをターゲットにしたプリンタというストーリーが始まりました」(吉地さん)
「CP770」で目を引くのが、そのバスケットのような形状。プリンタ本体が蓋部分に収まっており、蓋をはずした後、残ったバケツ状の部分に用紙カセットやケーブル類が収納されている。どうしてこんなデザインになったのか?
「プリンタを使っている人が、どのように使い、片付けているのかという調査を行いました。その結果、収納したときのたたずまい、使用するときの簡単さ、ケーブルやカセットを紛失しないで使える、ということが重要だと判明しました。そこで、それらの機能をもたせようということになったのです。この時点で『ママがターゲットで、付属品の収納ができる』というコンセプトが出来上がりました」(吉地さん)。
「普通、プリンタはプリント機能だけに目が行きがちですが、この商品はママの日常生活を調査して、準備からプリント、片付けといった一連の作業をより簡単にできるよう、収納用のバスケットを標準同梱にしたのです」(森部さん)。
キヤノン製バスケットってアリ?
「コンセプトが決まれば、あとはどう製品化するかです。初めは、本当にキヤノンがバスケットを出すのか、という話になりました。他部門からも、ほんとにこれ出すの? と見るたびにいわれて、現場レベルではかなり揉めましたね。今では結構刺激になっているみたいですけど」と吉地さんは笑う。
デザイン面で一番大きなポイントになったのが、本体横にあるロック部。「最初はロック機構をつける予定はありませんでした。しかし安全面から、子どもが蹴飛ばしたりしても大丈夫なように、追加することにしました。ただ、ママや子どもが製品を渡された瞬間、直感的に解除できるロックが望ましい。いろいろな商品を見て、ロックの形状を検討しました。最終的にたどり着いたのが、幼児向けブロックの『レゴ』で採用しているロック付きバスケット。これの形状を参考にしました」。
また、プリンタで印刷する際にも直感的に使えるということは重要だ。そこで操作ボタン数を減らすことにした。「まずは見た目の難しさを排除することがポイントでした。赤目除去といった使用頻度の低い機能は、内蔵はしていますが、ボタンとしては設けていません。それから従来は「戻る」や「中止」ボタンと同一だった「印刷」ボタンを独立させました。爪が長い女性の場合も考えて、指の腹でも押せるように大きなボタンにしています」(吉地さん)と、操作性にも配慮した。
最後に森部さんは「私たちの部署では、『CP770』をファミリーコミュニケーションプリンタと呼んでいます。ぜひ家族みんなで楽しんでいただければ」と語った。
また、吉地さんは「本当にママにとって価値ある製品になってくれるといいですね。今は、フィルム時代のように写真を一斉プリントして楽しむ時代ではなくなっています。ですから、プリントという行為を楽しめる価値を提供しなければダメだと思います。これからの製品企画では、こうした価値の提供がポイントになってくるのではないでしょうか」と、今後の展望を交えながら話してくれた。(山田五大)
★本記事はWebサイト「BCNランキング」に掲載した記事を要約したものです。全文はこちらをご覧ください。
- 1