Scene
ヴァル研究所、副都心線開業を商機に
2008/07/21 18:45
週刊BCN 2008年07月21日vol.1244掲載
ユーザーの第一想起を呼ぶ
――ヴァル研究所 太田信夫営業部 営業チームリーダー「駅すぱあと」は今年で発売20周年の節目を迎える。バブル経済がはじけて間もない93年、「分割定期機能」が脚光を浴びた。他の鉄道会社と競合する特定区間では定期券を通しで購入するよりも、2区間に分割するほうが運賃を安くできる。不況下にあって、経費削減のニーズに合致した。ユーザーの指摘を製品に反映し、時には時間計測のためストップウオッチを持って現地に出向く。CO2総排出量表示など時代にあった機能をリリースしながら、地道なメンテナンスを続けている。
PCへのバンドル、ヤフー、グーグルなど主要ポータルとの提携といったように、時代とともにサービス提供の場を広げてきた。ヤフーでの路線情報のページビューは月間2億以上。全国民が1人1回は必ず使う計算だ。一方で、「時代の変化か、若い人はもうPCショップで買わなくなっている」と太田はみる。
だが、インターネットでの利用は限定的な機能を使うライトユーザー中心であるのに対し、パッケージは「駅すぱあと」の機能をフル活用したいと考える企業ユーザーが多いという棲み分けができているのも事実。「パッケージを必要とするユーザーが存在する限り、店頭販売がなくなることはない」と断言する。
「長年パッケージを利用しているユーザーにさらなる満足を提供し、ファンをどう増やすかは今後の課題」。今年に入って、「駅すぱあと(Windows)」の価格改定とともに、最新情報を提供する初年度の「年間サポート」をセットにした。また従来は年間サポートユーザーにのみ提供していた携帯向け無償路線検索サービス「エキモ」の利用ユーザーを拡大。2008年4月版以降のパッケージ利用ユーザーなら最大半年間無料にするなど、付加価値向上のための施策を打っている。「携帯以外でもユーザーの『特権』となるサービスを提供したい」と意欲的だ。
交通のことなら“交通のエキスパート”に。「駅すぱあと」は、さまざまな策を打ってユーザーの「第一想起」獲得を狙う。(文中敬称略)(BCN・鍋島蓉子)
- 1