店頭流通

デジカメ画像 急成長するデジタルフォトフレーム わずか半年で売り上げ4.8倍増

2008/07/07 16:51

週刊BCN 2008年07月07日vol.1242掲載

 写真立て風の外観ながら中の写真が次々と変わっていくデジタルフォトフレーム。デジタル画像の楽しみ方を提案する新ジャンル製品として注目を集めている。今年に入って売り上げが急増。わずか半年で販売金額が4.8倍にまで拡大した。そこで「BCNランキング」を参考に、売り場の声も交えながら最近の動向をうかがった。

原動力は、メジャーメーカー参入

クリックで拡大 デジタルフォトフレームは、その名のとおり、デジタルカメラなどで撮影したデジタル画像を表示する機器。写真立て(フォトフレーム)の写真を入れる部分が液晶画面になっており、そこにデジタル画像を表示して鑑賞するという仕組みだ。スライドショー機能を搭載しているモデルが多く、次々と画像が切り替わっていくのも特徴の1つだ。

 2008年1月を基準とした販売台数と金額の伸びをBCN指数でみると、2月では台数が104.7%、金額が108.3%とほぼ横ばい。ところが08年3月になると台数で207.8%、金額で218.5%と、一気に2倍に拡大した。

 ビックカメラ有楽町店本館のデジタルフォトフレーム売り場担当・長島輝明氏によると、「デジタルカメラは(卒業式や入学式などの)イベント前に売れるが、デジタルフォトフレームはイベント後によく売れる」とのことで、3月以降はそうしたイベント後に買い求める人が多かったようだ。5月に入ってからは、台数で388.2%と4倍弱、金額で480.3%と5倍弱という、さらに急激な成長を遂げた。長島氏は「ゴールデンウィークの影響もあるが、ソニーの新規参入が大きく貢献している」と分析する。

贈答用に限らず「自分使い」需要も

 デジタルフォトフレームの有力メーカーは、磁気研究所やSAMSUNG、テクタイトといったところ。携帯オーディオで有名なiriverや、インスタント写真で知名度の高いポラロイドも製品を販売している。しかしビッグネームが不在だったことから、「マイナー製品」という印象がぬぐえなかった。そこへ5月、ソニーが高解像度の「S-Frame」シリーズ3モデルを引っさげて市場参入した。これをきっかけに製品ジャンル自体の認知率も向上し、新たなユーザー層を開拓、市場が一気に活性化した。

 「1年ほど前は結婚する友人や、田舎の両親などへの贈答用として購入するお客様がほとんどだった」(長島氏)が、最近ではインテリアとして自分用に購入する場合が増えているようだ。「(「S-Frame」シリーズは)解像度が高く、機能も充実している。例えば縦・横置きの両方に対応したり、写真と一緒にカレンダーや時計などを表示することができる。デザインも良く、机上に置きやすい」(同)との評価もあり、若い世代を中心に需要が高まっているという。今では贈答用と自分用の割合は「半々」にまでになっているようだ。

主流は7型、1万円台

 製品売り場を見ると、液晶サイズが1.5型の小さいものから、15型の壁掛けモデルまで、バリエーションは多様だ。08年5月の液晶サイズ別の構成比を見ると、1位が7型で68.0%。市場の3分の2を占めていた。2位は5.6型で10.5%、3位は9型で8.9%と続く。

 7型モデルが人気なのは「ラインアップが充実しており、さまざまなデザインから選択できる」(長島氏)という理由があるようだ。また価格面でも「7型モデルの平均価格は1万円台半ば。液晶サイズが大きくなれば価格も上がるため、躊躇するお客様が多い」(同)ということで、手軽に購入できる1万円台の7型モデルに人気が集まっているようだ。

 観光地でよく見かける記念撮影の光景。もはやデジカメは当たり前の存在だ。しかし、撮った写真はどうなっているのだろう? フィルムカメラ時代はアルバムに入れて楽しんだものだ。デジカメ時代の今、プリントして楽しむ人は減りつつあるのではないだろうか。とはいえ、撮りっぱなしではもったいない。デジカメ画像はPCのモニタでも表示可能だが、身近なところで日常的に楽しむニーズには不向きだ。そこで注目されているのがデジタルフォトフレーム。「これからは液晶サイズも大きくなり、高画素数・高精細のモデルが増えていくと思う。これが求めやすい価格になってくれば、さらに需要が高まるだろう」(同)。市場の拡大基調はしばらく続きそうだ。(山下彰子)
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