店頭流通
デジタル家電 薄型テレビとBDレコーダーで需要増 「オリンピック効果」開幕か?
2008/06/30 16:51
週刊BCN 2008年06月30日vol.1241掲載
伸び率で年末上回る薄型テレビ
テレビ、パソコンなどデジタル家電の販売金額で、前年同期比を指数化した「BCN指数」は、4月を底に5月100.1%、6月速報値が105.1%と上昇。この時期は例年、夏のボーナス商戦を前に需要の谷間を迎えることが多いが、今年は逆の動きを示しており、特に薄型テレビとレコーダーが好調に推移している。薄型テレビの販売金額では、液晶が好調に伸びている一方、プラズマも今年に入って初めてのプラス成長。液晶の販売金額は、5月の前年同月比で118.1%、6月速報値でも124.6%と大きくアップ。プラズマも6月速報値が114.6%と今年初めてプラス圏に突入したうえ、2ケタ成長をみせている。また、5月の時点で、販売台数・金額の伸び率が07年12月の年末商戦期を上回り、オリンピック需要はすでに立ち上がっているとみてよさそうだ。
画面サイズ別の動向を台数の前年同月比でみると、液晶で50型以上221.3%と倍増、40型台でも189.4%と倍増に迫る勢いだ。プラズマも40型台が216.7%と、やはり倍増の勢いを示している。一方で、50型以上では92.6%と前年割れの水準にとどまっており、40型台の存在感が増している。
なかでも液晶では特に46型の伸びが目立ち、構成比で3割を占めるまでに拡大。従来中心サイズだった42型からシフトしつつある。今後しばらくは、液晶・プラズマともに46型を中心に大型化をけん引していくものとみられる。
シャープを追うソニーと松下
メーカー別の動向をみると、液晶・プラズマテレビを合わせた薄型テレビ全体の販売台数シェアは、シャープが6月速報値で48.7%と依然としてダントツ。4月以降、さらにシェアを伸ばしてきた。一方、2位を争う松下電器産業とソニーは、ほぼ互角の戦いを展開している。春商戦では、ソニーが小型・中型サイズを中心にシェアを伸ばしたが、5月以降、松下が急激に巻き返した。同社は北京オリンピックの公式スポンサーで、CM展開などの効果が現れているとも考えられる。薄型テレビのオリンピック需要は、7月後半にピークを迎える見通し。家族で相談して購入することが多い高額商品のため、開催期間中の大きな需要はあまり期待できない。7月の販売動向についてBCNでは、台数ベースでは前年同月比140%程度、金額では同130%程度の伸びを予測している。
普及期に入ったBDレコーダー
DVDレコーダーは、新製品が出揃った5月を境にBDレコーダーが本格的な普及期に入った。このところ台数の前年割れが続いていたが、BDレコーダーが需要拡大をけん引する形で5月、プラスに転じた。台数で前年同月比106.9%、金額で前年同月比118.6%を記録し、順調に伸びている。6月の速報値ではこの流れに加速度がついてきた。DVDレコーダーに占めるBDレコーダーの比率は、6月速報値では台数が35.1%、金額で53.9%に拡大。このまま推移すれば、7月にはBDレコーダーが金額で6割を超えてきそうだ。
BDレコーダーのメーカー別シェアでは、4月以降、ソニーと松下のトップシェア争いが激化している。ソニーは、08年初頭には6割を超えるシェアを確保していたが、4月に松下が投入した低価格機の影響でシェアを3割台まで落とした。逆に松下は45.8%でトップシェアを獲得。しかし5月には両社の差が縮まり、6月速報値ではソニーが再びトップに返り咲いた。
レコーダーは、家族に相談せず1人で購入を決めることが多いといわれており、北京オリンピックが開催される8月直前まで駆け込み需要が期待できる。BCNでは7月、DVDレコーダー全体で、台数で前年同月比120%、金額で同125%前後の伸びを予測している。06年の冬季オリンピックやサッカーのW杯特需では、会期中も販売が急伸した実績があるだけに、日本選手の活躍次第では8月中旬まで需要のピークが続く可能性も十分にある。(津江昭宏)
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