Scene
シマンテック、「啓蒙」強化でセキュリティ需要を獲得
2008/06/02 18:45
週刊BCN 2008年06月02日vol.1237掲載
セキュリティの脅威をどう伝えるか
―コンシューママーケティング部 ロジャー ヨーダー部長だが、そうした危機感とは裏腹に状況は厳しい。BCNランキングでは、店頭パッケージの販売金額は前年割れ。すでに普及は頭打ちとの危惧する声も聞かれるが、「それはまったくの誤解。日本のセキュリティ市場にはまだ、ポテンシャルがある」と否定する。
同社が独自に先進8か国で実施した調査では、セキュリティソフトのインストール率が最も高かったのは、ブラジル、ドイツの85%。日本は61%で最下位だった。「実際にはホームユーザーでセキュリティソフトを使っているのはまだ30%程度ではないか」と推測する。需要が頭打ちになる状況ではない。では、なぜ普及が進まないのか。状況を打開するには、店頭やユーザーに、幅広くわかりやすい「啓蒙」活動を行うことがキーワードだと捉える。
昨年、9月から同社は初のキャラクターを使った販促展開に乗り出した。それが「ノートン・ファイター」だ。ウイルス、スパイウェア、ボット…。「脅威」というさまざまな怪獣をノートン・ファイターが退治する。 「『スーパー・ヒーロー』対『脅威』というキャラクターなら一般ユーザーにも面白がってもらえ、セキュリティの重要性を分かりやすく伝えていける」と、販促展開にアイデアを絞る。
そんなヨーダーが、もう一つの課題と強調するのが、無期限更新無料ソフトの存在だ。店頭でも、更新フリーの販売シェアが上がっているが、「一度購入してしまえば、更新版を求めてユーザーが売り場に戻ってくることはない。本当にこれでいいのか。販売店も含めて業界全体が考えなければならない」と疑問を投げかける。
同社が昨年グローバルで研究開発にかけた金額は、約9億ドル。「競合メーカーの年間売り上げに匹敵する開発費を投じている」。それくらい投資しなければサイバー犯罪に対抗できない。他の競合がそのスケールを投資するのは不可能に近い。だから、「すべてのセキュリティソフトは一緒ではない」と口調を強める。(文中敬称略)(BCN・鍋島蓉子)
- 1