大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>99.ゲーム白書が予測する「ゲーム機が無くなる日」

2008/06/02 16:51

週刊BCN 2008年06月02日vol.1237掲載

 エンターブレインが、「ファミ通ゲーム白書2008」を刊行した。

 今年で4回目となる2008年版では、ゲームユーザー1万人を対象にした大規模アンケートも収録。海外調査会社9社の協力により、日本国内のみならず、世界のゲーム市場規模までを網羅しており、資料性をさらに増した。

■王座に君臨する任天堂

 同白書によると、全世界におけるゲームコンテンツ市場は対前年比34%増の3兆7972億円。そのうち日本国内におけるゲーム市場規模は、2007年度実績で6769億円となり、過去最高となった06年度を3.8%上回る結果となっている。

 日本国内におけるゲーム機の販売台数は、1573万7823台。金額ベースでは前年比5.2%増の3175億円。ゲーム機向けに開発されたソフトは、2.6%増の3594億円となった。

 特筆されるのは、任天堂の圧倒的な強さだ。Wii本体が、台数ベースで前年比91.5%増の374万2000台。対応ソフトも219.3%増の1396万8000本と、ハード、ソフトともに大幅に市場規模を拡大している。ニンテンドーDS(Liteを含む)も、本体出荷台数が633万7000台、対応ソフトの販売本数は3563万5000本と、市場シェアでは第1位の座に君臨し続けている。

 加えて、07年度に販売されたゲームソフト販売本数上位10製品のうち、首位のWiiFitをはじめとして、グループ会社のポケモンを含め、9製品が任天堂グループによるものとなっている点も見逃せない。

 任天堂グループのソフトの年間販売本数は、80タイトルで2588万本と推計されており、07年度に国内全体で販売された7474万本から逆算すると、実に3本に1本は任天堂グループのソフトという計算になる。

■ゲーム専用機は消滅する

 ところで、このゲーム白書2008では、巻頭に「本書の発刊にあたって」というページがある。そこに、興味深い言葉が記されている。それは、「ゲーム機が無くなる日」という言葉だ。

 ファミ通ゲーム白書の上床光信編集長は、その言葉の意味を、「ゲーム機が本来のテレビゲームの域を超えた使い方をされたり、ゲーム機以外にもゲーム機能を搭載した機器が増加し、ゲーム専用機の色が薄まらざるを得ない動きが出てくることを指したもの」としている。

 WiiFitの登場によって新たなゲームの世界を提案しながらも、Wiiを最先端の健康器具へと変身させた。また、ニンテンドーDSは携帯性の高いゲームの世界を実現しながらも、脳トレをはじめとする学習型ソフトの世界を新たに開拓した。一方、携帯電話や携帯型オーディオ機器でゲームをプレイするといった使い方も増えはじめている。同白書によると、携帯電話でゲームをすると回答したユーザーは、10代、20代では6割を突破しているのだ。

 ゲーム市場はますます拡大していくことになるというのが同白書の見解だ。その背景には、ゲーム機の枠が広がり、同時にゲームを利用するデバイスが広がるという潮流が見逃せない。そして、それがすでに顕在化しはじめていることを、今回のゲーム白書から読みとらなくてはならない。
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