大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>95.ヤマダ電機が加速させる都市型店舗戦略

2008/04/28 18:44

週刊BCN 2008年04月28日vol.1233掲載

 ヤマダ電機は4月18日、千葉県のJR津田沼駅前に、LABI津田沼をオープンした。同社の都市型店舗LABIとしては全国で8店舗目、関東圏では5店舗目となるものだ。

■矢継ぎ早のLABI出店

 同社は、2006年3月に出店した大阪・難波の「LABI1 NAMBA」の出店を皮切りに、都市型店舗の出店を加速させている。都市型店舗に冠される「LABI(ラビ)」の名称は、「ライフ・アビリティー・サプライ」を略した造語で、商圏ターゲットは30万人以上。100万人を想定した店舗も含まれる。

 すでに、仙台、池袋、品川大井町、新橋デジタル館、秋葉原パソコン館、千里に出店しており、来年6月に予定されている群馬県のJR高崎駅前への出店をはじめ、東京・渋谷の道玄坂のSHIBUYA 109の隣接地への出店のほか、SL広場前にLABIデジタル館を出店している東京・新橋においても、線路を挟んだ銀座側への新店舗出店が明らかになっている。

 山田昇社長兼CEOは、そのほかにも3店舗の新規出店計画があることを明らかにしており、同社の都市型店舗戦略が今後も拡大することになる。

 ヤマダ電機には、都市型のLABIのほかに、主力となる郊外型店舗を「テックランド」のストアブランドで展開。売り場面積を1000坪クラスとし、約20万人の商圏を対象に、出店を続けている。さらに、商圏人口5-10万人を対象とするテック・FCと、5万人未満を対象にサービスを重視した展開を進めるコスモス・FCの2系統でのFC展開を進めてきた経緯がある。加えて、ネットワーク商品を主体としたテックサイトと呼ばれる店舗を都内と岡山に出店。夜11時まで営業する店舗も出店している。

 「LABIだけでなく、テックランドやFC(フランチャイズ)店舗を持つのがヤマダ電機の強み。郊外型で培ったノウハウと、都市型店舗展開をミックスさせることができ、配送や設置、アフターサービスやビフォアーサービスという点でも、お客に近い郊外店からカバーすることができる。また、都市型店舗、郊外型店舗ではカバーできない部分を、FC店が地域密着型のサービスとして提供する仕組みもある。この3つの業態がうまくネットワークして、当社ならではのサービスが提供できる」(山田社長)と強みを語る。

■顧客の来店頻度を高める

 ヤマダ電機は、ポイント制度にも乗り出しているが、ここにもひとつの戦略がある。山田社長は、「ポイントは顧客を獲得する手段」と明確に位置づけ、差別化策として「安心価格保証」「長期無料保証」をアピールする。来店しただけで1ポイントを獲得できる仕組みを導入しているのも来店頻度をあげる仕組みだ。また、一部店舗では、ギフト・生活関連商材を扱う新商品カテゴリーの「ELENTA(エレンタ)」を展開。これも、「ポイントの使い道が、生活雑貨にまで広がれば、利用範囲はさらに拡大する。ELENTAは、それを実現するための方法でもある」として、やはり来店頻度をあげる狙いがあることを示す。利益率の高い生活雑貨でのポイント利用の拡大は、経営面でもプラスに働く。

 都市型店舗展開を打ち出すヤマダ電機は、カメラ量販店とは異なったスタンスで出店を進めているのは明らかだ。
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