店頭流通

BCN パソコンの市場動向発表 Vista商戦の反動で落ち込み

2008/03/24 18:45

週刊BCN 2008年03月24日vol.1228掲載

付加価値モデル中心に需要は堅調

 BCNは3月12日、パソコンやデジタル家電商品の春商戦の動向を発表すると同時に、業界内向けの市場動向セミナーを開催した。

 大手量販店のPOSデータを集計した「BCNランキング」の1-2月の販売動向をみると、パソコンは昨年のWindows Vistaの発売時期と重なった影響もあって、2月の前年同月比は台数で90.6%、金額で82.1%にとどまった。昨年末商戦では、ノートパソコンが11月に同106.8%、12月に同110.0%を達成。パソコン全体でも12月は105.1%と好調であったが、一転してマイナス幅が大きく広がった。

 しかし、今後、Windows Vista発売の反動による伸び率減が、どこまで影響するかは微妙なところだ。昨年2月のパソコン全体の台数伸び率は100.9%とVistaの登場で盛り上がったが、翌3月には95.1%と落ち込み、Vista効果は短期間で収束した。

 それだけに、どの時点で本格的な回復に転じるかの見通しは、3月以降の情勢を見極める必要がありそうだ。前年同月比ではみかけ上マイナス成長だが、1月に発売された新モデルを中心に、新しい需要の拡大もみられる。

 ノートパソコンは台数で1月が同98.2%、2月が96.3%と、前年をわずかに下まわったものの、底堅い動きを見せている。人気を集めているのが、軽量薄型のモバイルノート。重量別にみた販売構成比では、2.5キログラム以下の比率が昨年12月の19.4%から、2月には27.5%へと急速に伸びた。

 最大のヒット商品は、ASUSTeKのEeePC(イーピーシー)シリーズ。920グラムの軽量ボディに7インチの液晶と4GBのディスク、さらにワイヤレスLAN機能も備えながら、4万7000円前後というコストパフォーマンスの高さが人気を呼んで、2月には5.1%のシェアでノートPCのランキング第3位にくい込んだ。外出先などに気軽に持ち運べるモバイルノートの市場が久々に復活してきた感じだ。

 一方、デスクトップパソコンは、1月の新モデルによる平均単価の上昇で、売れ行きが一時的に鈍っているが、上位モデルを中心に付加価値型モデルの需要拡大が続いている。

 とくに20インチ以上のモニタを搭載した大画面モデルの販売が好調。2月には22インチ以上の台数が14.4%に達し、20インチ以上全体では27.4%にまで広がった。大画面モデルの好調の背景には、デジタルチューナーやDVDでテレビ放送や映画を楽しみたいというユーザーの増加があげられる。

 付加価値型モデルの好調は、パソコンの新しい活用領域の拡大に支えられているとみられ、今後パソコン需要全体を押し上げる原動力となる期待が高まっている。
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