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薄型テレビの再編始まる 「松下・日立・キヤノン」「シャープ・東芝」がそれぞれ提携
2008/01/14 16:51
週刊BCN 2008年01月14日vol.1218掲載
松下電器と日立、キヤノンの提携は、中小型液晶パネルの生産を行うとともに、テレビ用大型液晶を生産するIPSアルファテクノロジの最大株主である日立ディスプレイズに、松下とキヤノンが出資。最終的にはキヤノンが過半数の資本を出資するほか、IPSアルファテクノロジに対して松下電器が過半数の出資を行う。
松下電器の大坪文雄社長は、「プラズマを核に大画面化を促進する戦略に変更はない。だが、IPSアルファの次期工場建設は、松下電器が中核となって行う。30インチ台のパネルを効率的に生産できる第7世代、第8世代を導入することになるだろう」と説明する。 この提携では、有機ELパネルの生産まで視野に入れた提携になるという。
一方、シャープと東芝との提携では、シャープから東芝にテレビ用液晶パネルモジュールを供給。その一方で、東芝がシステムLSIを供給する。それに加えて東芝は、IPSアルファテクノロジに出資している15%の株式の全部を松下電器に譲渡する。
相互供給は2008年度からスタート。シャープの堺工場が稼働する2010年には、シャープは東芝から液晶テレビ用システムLSIを約50%購入、東芝はシャープから32インチ以上のテレビ用液晶モジュールを約40%調達する。
「シャープの液晶と東芝のLSIの組み合わせは、まさに、鬼に金棒。調達の構成比率は、数字にこだわるのではなく、また、提携領域を広げていくことも視野に入れる」(東芝・西田厚聰社長)と、提携の拡大を前提にしていることを明らかにしている。
シャープの片山幹雄社長は、「2010年3月までに堺市の新工場で生産する液晶パネルの供給先として、また安定してLSIの供給を受けることで液晶テレビの競争力を確保できる」としている。
薄型テレビを巡る勢力図は、「松下・日立」「シャープ・東芝」「ソニー・サムスン」といった陣営に分割されることになる。投資額が拡大するなかで、グループ化は避けては通れない選択肢となっている。
日立の古川一夫社長は、「パネル技術は、1社単独でやって、世界で勝てる状況にはない」と語る。 今後は材料メーカー、装置メーカーを巻き込んだ系列化が進む可能性もありそうだ。
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