大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>72.年末商戦、はがき作成ソフトは大混戦か!?

2007/11/05 16:51

週刊BCN 2007年11月05日vol.1210掲載

 11月1日から、2008年用年賀はがきが発売となる。

 郵便事業株式会社となって、わずか1か月後の売り出しだが、民営化の意欲の現れか、発行枚数は前年比3%増となる39億1650万枚を予定。はがき離れが指摘されるなか、拡大路線を打ち出すことになった。

 年賀はがきの発売にあわせて、いよいよ、はがき作成ソフトも本格的な需要期を迎える。そのはがき作成ソフト市場は今年、郵政民営化に勝るとも劣らない状況変化をみせながら、商戦に突入することになる。

■ニーズつかむか「筆王ZERO」

 06年の実績で、43.3%と8年連続のトップシェアを獲得したクレオの「筆まめ」は、Ver.18へと進化。9年連続トップシェア獲得に向けて盤石な体制を築こうとしているが、それを追う2位以下のプレーヤーは大きく変化することになった。

 昨年は31.2%と第2位のシェアを獲得した「筆王」は、今年3月に、イーフロンティアおよびアイフォーから、ソースネクストが筆王の商標権および著作権を買収。この年末商戦では、ソースネクストブランドで販売される。

 ソースネクストでは、更新料およびバージョンアップ料を無料とするZEROシリーズのなかに筆王を組み込み、「筆王ZERO」として商品化。「はがき作成ソフト市場そのものを拡大し、同時にはがき作成ソフトの販売本数でトップシェアを目指す」(ソースネクスト・松田憲幸社長)と鼻息が荒い。

 同社の調査によると、はがき作成ソフトの買い換え理由において最も多いのが、「新たな干支の素材が欲しいため」との回答。全体の67%を占めているという。

 「『筆王ZERO』は、購入したら2017年までの間、毎年、1000-2000点の干支素材や郵便番号辞書などを無償でバージョンアップできる。これまで、はがき作成ソフトを購入したことがないユーザーに対しても普及することができるだろう」と、ZERO戦略という新たな施策でシェア獲得を目指す。

■クレオも強気な目標で臨む

 一方、シェア第3位の「筆ぐるめ」の富士ソフトは、今年から販売パートナーとしてジャングルとの提携を発表。今年は同社を通じた営業展開でシェア拡大を目指す。

 同社はこれまで、パソコンへのバンドル戦略を中心に展開。年間400万ライセンスを出荷している。「バンドルでは圧倒的なナンバーワンシェア」(吉田寛代表取締役専務)となっている。

 ジャングルの高田晃子社長は、「筆ぐるめの使いやすさに対する評価は高い。今年度は、パッケージで前年度比50%増、年間20万本の販売を目指し、3年後には30%以上のシェアを獲得する」と意欲をみせる。

 さらに、昨年まではがきスタジオを投入していたマイクロソフトが、市場からの撤退を発表。この受け皿争いも熾烈になる。

 迎え撃つクレオの土屋淳一社長は、「顧客満足度ナンバーワンの実績をベースに、市場シェア60%、年間60万本の出荷を目指す」と、シェアを拡大しながらの首位維持を目指す考えだ。

 例年とは異なる競争環境で、商戦突入後も、どんな販促策が飛び出すか予測がつかない。商戦が終わった時点で勢力図が塗り変わるのか、興味深いところだ。
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