店頭流通

富士フイルム 昇華型フォトプリンタを投入 新たに「お家プリント」市場参入へ

2007/10/29 18:45

週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載

225億ショットの需要狙う

 富士フイルムが、昇華型コンパクトフォトプリンタを投入した。これまで「お店プリント」を推進してきた同社が、「お家プリント」でホームユースの領域に新たに参入を果たすことになる。その狙いは何か。

 富士フイルムが投入したのは、FinePix Printer QS-70および同QS-7の2機種。Lサイズとポストカードサイズの用紙に対応した昇華型コンパクトフォトプリンタで、出力解像度は300dpi。上位機のQS-70には、メモリカードスロットと2.4インチ液晶モニターを搭載している。

 同社がミニラボ向けの機器で採用している自動画像補正技術「Image Intelligence」を搭載。顔や肌の色調にあわせた色補正などが可能になる。価格はオープンプライスだが、店頭予想価格はQS-70が1万7000円前後、QS-7が1万2000円前後の見込み。

 今回の製品投入は、プリンタメーカーと一線を画し、「お店プリント」を訴求しつづけてきた富士フイルムにとって、新たな戦略を打ち出したものといえる。

 富士フイルムイメージングの杉原和朗社長は、「デジカメの累計稼働台数は3000万台規模が想定され、総ショット数は225億にものぼる。だが、そのうちプリントされるのは約40%にとどまっている。お店プリント、お家プリント、ネットプリントにかかわらず、まずはプリントする習慣をつけてもらい、そのあとでお店プリントのよさを訴求する」と、あくまでもお店プリントが主軸であることを強調する。だが、簡単に、手軽に家でプリントアウトしたいという需要があるのは確かだ。「そうしたニーズに対して、富士フイルムのミニラボで培った技術を生かしたい。プロの技術で仕上げるお店プリントとはバッティングしない」としている。

 とくに富士フイルムが得意とする20-30代の女性デジカメユーザー層には今後、フォトプリンタの需要が見込めると分析。QS-70では、FinePixで女性に人気のピンクと同色の製品を用意するという戦略的な提案も行う方針だ。

 その一方では、お家プリントを推進するセイコーエプソンが、ミニラボ向け機器を投入するなど、フォトプリントを巡る新たな戦いが始まっている。
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