店頭流通

秋冬モデルの前倒し投入も PCの売れ行き横バイに持ち直す

2007/08/27 16:51

週刊BCN 2007年08月27日vol.1200掲載

 7月に入って、パソコン販売がわずかに上向いてきた。BCNランキングによると、ノートとデスクトップを合わせた7月の販売台数は、前年同月比100.2%と、今年2月のVista発売直後に前年実績を上回って以来、5か月ぶりに横バイにまで持ち直した。この状態は持続するのだろうか。

 BCNランキングによると、7月の販売台数は、デクストップでは19.8%減と依然として厳しい状況が続くものの、ノートでは10.4%増と久しぶりに2ケタ増を記録した。NECでは、前年同月比で1ケタ台の中盤の出荷台数。富士通も、前年実績を上回っているという。

 需要が持ち直した要因としては、Vista搭載パソコンの実売価格の下落があげられる。Vista搭載パソコンの平均実売価格は、今年2月の発売直後と比べて、2割以上の下落となっている。また、Vista対応のドライバが揃ってきたこと、Vistaの認知度が徐々に高まってきたことなどがあげられよう。一方、猛暑との長期予報を受けて期待されたエアコンだが、7月は前年同期比2-3割減という大幅な落ち込みで推移しており、エアコンの需要がパソコンに一部流れたとの見方もある。

 だが、比較のベースとなる前年の7月が、Vista発売前の買い控え傾向が出ていた時期であることを考えると、前年実績並みとなっても、手放しで喜べる状態ではない。

 7月のエアコン需要がパソコン販売に流れたとすれば、猛暑となった8月には、逆にパソコンの売れ行きは厳しくなるともいえる。

 さらに懸念材料がある。慎重な売れ行きを想定していたパソコンメーカー各社の予想を上回る販売台数となったことで夏モデルの在庫が早めに底をつき、秋冬モデルの発売日を前倒しにする必要に迫られるケースも出ているからだ。

 一部メーカーでは、いまから夏モデルの品切れが指摘され、発売までの1週間程度、販売するパソコンが確保できなくなる可能性も指摘されている。商品を切らさないことも、8月の実績を左右することになりそうだ。
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