店頭流通
アーベル 新会社として再スタート
2007/08/06 18:45
週刊BCN 2007年08月06日vol.1198掲載
メルコとコクヨの業務提携で誕生
新社名は「バッファローコクヨサプライ」に
■2010年度に売上高200億円へ今年2月、メルコグループとコクヨグループが業務提携を発表。アーベルはコクヨの子会社だったが、今年4月からメルコホールディングスの連結対象会社になった。アーベルの業績は決して好調とはいえなかった。そこで、業務提携により新会社・バッファローコクヨサプライを設立する運びとなった。
新会社は100人程度のスタッフで運営され、そのうちバッファローから15人、コクヨから5人が出向する。バッファローコクヨサプライの社長として経営の舵をとることになった斉木邦明氏(バッファロー社長)は、「確実に成長できる」と自信をみせる。
7月の時点で大阪にあるアーベルの物流機能を名古屋にあるメルコグループの物流センターに移行した。無線LAN関連機器やメモリなどで培った物流の仕組みを生かすことでコスト削減を図る。斉木社長は、「8月中に物流の完全統合が実現できる」としている。京都市にある本社は、9月をめどにバッファローの本拠地である名古屋に移転。「今年度下期から、メルコのグループ会社として業績を伸ばせる体制が整う」と、4月の連結対象会社化から5か月間で基盤強化が図れることを示唆している。
現在、バッファローのサプライ事業とアーベルの売上高は、単純合算で85億円程度になる。サプライ業界のなかでは、国内で3位に位置づけられる。しかし、「まだまだ弱者。上位2メーカーと対等に渡り合える売り上げ規模とはいえない」と認識している。そこで、2010年度(11年3月期)までに「200億円規模の売り上げまで引き上げる」としている。
■業界に一石投じたい
バッファローとアーベルのタッグにより、斉木社長には、「サプライ市場に一石を投じたい」という考えもあるようだ。
サプライビジネスは、家電量販店やパソコン専門店の“タナ”と呼ばれる商品陳列ラックを確保できるかどうかが拡販のカギといわれている。バッファローは04年夏にサプライ市場に参入。ビジネスの拡大に力を注いできたが、他社と比べて商品数が少ないことから“タナ”を確保することが難しかったという事情がある。
そこで、アーベルをグループ傘下に収めることにより他社に負けない商品数や“タナ”を確保した。家電量販店やパソコン専門店に対して「ユーザーに認知されるようなアイデア商品を提案できる」ようになったわけだ。他社製品との差別化を図る“フラッグシップ”の開発で製品の拡販につなげる。フラッグシップ製品の筐体や機能などは明らかにしていないものの、年末商戦に合わせ「10月には市場投入する」計画だ。
また、サプライはパソコンにそれほど詳しくなくても手軽に購入できるという点で、コンシューマ向けパソコン関連機器のなかで初級者でも購入する製品。同社がサプライ製品を発売するのは、パソコン初級者をユーザーに獲得することで顧客層のすそ野を広げ、ブランドイメージの向上・浸透で、無線LAN関連機器などの拡販につなげる狙いもある。しかも、コクヨグループとの業務提携で「ホームネットワークをはじめ、一段とビジネス領域を拡大させることにも取り組む」。
バッファローのネットワーク関連機器とコクヨグループのオフィス製品・家具を組み合わせることで、ユーザー企業に対するオフィスのリプレース、インターネットマンションなどの案件を獲得する構想を持っている。
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