大河原克行のニュースの原点
<大河原克行のニュースの原点>49.ドコモが掲げた「DoCoMo 2.0」の狙いとは
2007/05/21 18:44
週刊BCN 2007年05月21日vol.1187掲載
同社の中村維夫社長は、「一歩先に進んだ、新たな価値創造に挑戦するのがDoCoMo 2.0」として、サービス、料金、端末、ネットワークといった携帯電話事業の基本要素のすべてにおいて、新機軸を打ち出すことを示した。
■サービス展開を柔軟に
具体的な取り組みとしては、定額制ビジネスの拡大、決済/クレジット事業の本格展開のほか、高速化や映像対応を強化した先進的な端末の開発、国際対応などの観点からの強化を図ることを示した。また、通信エリアの拡充については、年間1万局以上の基地局増設を継続するのに加え、「面展開による整備にとどまるのではなく、高速大容量化への取り組み、顧客と連動した整備などを進める」とし、エリアチューニングによるFOMAの品質向上や、定額制普及によるデータトラフィック拡大に対応した設備の増強、HSDPA(新開発の高速パケット伝送技術)エリアの人口カバー率を90%に拡大するといった設備投資に取り組む姿勢を示した。
基地局については、IP化対応BTSや、フェムトセル用BTSなど、すでに欧州で実用化されている手法を導入することを示し、効率的な設備投資に乗り出す考えだ。
さらに、今年秋にも導入する予定の新基幹システムでは、新たな料金施策の意思決定から、実サービスの稼働まで約1か月で移行できるようになるという。
従来システムでは、約半年を要したことに比べると、柔軟なサービス展開が可能になり、DoCoMo 2.0の各種戦略の実効性、柔軟性にも大きく寄与することになるだろう。
■携帯電話を生活インフラに
このように、DoCoMo 2.0により、付加価値競争へとシフトさせるつもりのようだ。
中村社長は、「携帯電話ビジネスは、これまでとは違う様相を呈してくることになる」としながら、「これまでの競争、対抗フェーズからの脱却を図り、より生活に密着した生活インフラとしての定着を目指すのがDoCoMo 2.0になる」と語る。
「相手が料金を下げてきたら、こっちも対抗上、追随する必要があるだろう。だが、純増規模が年間300-400万台しかない国内市場でシェア争いをしているのではなく、例えば、アジア全体ではどうしたらいいのかといったことも考えなくてはならない」
日本人観光客が多いエリアでの国際ローミングの強化に力を注いでいるのも、そうした付加価値戦略に取り組む狙いがあるからだ。
一方、iチャネル、メロディコールがともに1000万契約を突破。こうしたサブスクリプションモデルによるARPU(月間電気通信事業収入)の底上げや、昨年10月に開始した検索サービスでは専門検索機能の開発によるサービス強化を進めること、あるいは6月からは新たに検索連動広告の提供を開始するといった事業による収益確保にも挑む。
さらに、「将来的にはワンセグ機能を標準搭載することになる」として、2008年にも予定されているサイマル方式による放送制度の見直しによって、ワンセグ機能をどう収益につなげるかが、改革の重要な柱となりそうだ。
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