店頭流通

主要PCメーカー各社 夏モデル投入へ Premium全面採用で巻き返し図る

2007/04/23 17:00

週刊BCN 2007年04月23日vol.1184掲載

 3月には前年割れとなった個人向けパソコン(PC)市場。Windows Vistaの効果が発揮できなかったことで、業界内では需要を喚起する起爆剤の準備に余念がない。そうしたなか、主要PCメーカー各社からVista搭載PC第2弾となる夏モデルが4月下旬から出荷されることになる。各社の巻き返しは功を奏するか。

 BCNランキングによると、個人向けPCの3月の販売台数は、前年同月比4.8%減と厳しい結果になった。

 メーカー各社は、Vistaを擁しながらの厳しい状況を打開すべく、夏モデルでの巻き返しに力を入れる。

 NECは、春モデルに引き続き、Vista Home Premiumを全面的に採用。一部機種では、802.11n準拠の無線LANへの対応、フラッシュメモリを活用したハイブリッドHDDの採用などを実現。さらに、モバイル系の製品でCore 2 Duoを採用するなど、高機能化に向けた強化を図っている。

 また、Premiumの機能を生かすVista WPFによる独自ソフトウェア「Smart Photo」を搭載。動きのあるユーザーインターフェースを採用することで、デジタルカメラで撮影した写真の管理を容易にした。

 さらに、新たなラインアップとして、VALUESTAR Nを投入。入社2年目の社員に企画を担当させたという同製品は、ノートPCの設置のしやすさや持ち運びやすさと、デスクトップの使いやすさを融合したもので、個室での利用を拡大することを狙っている。A4ノートPCよりも狭いスペースに設置できること、PC周りの小物を収納できるポケットを搭載したこと、取っ手を持って簡単に持ち運べるなど、これまでのPCにはないコンセプトがどこまで受け入れられるかに注目が集まる。

 一方、富士通は、春商戦でVista Home Basicの品揃えを強化したことが裏目に出た反省を踏まえて、夏モデルでは、Basic搭載機種はデスクトップで1モデル、ノートで1モデルに限定した。それ以外の製品は、すべてHome Premiumとする大転換を図った。

 また、ノートPCで主力となるNFシリーズに、従来のNBシリーズを統合するとともに、最上位機種にはブラックカラーの筐体を採用。モバイル系のMGシリーズでは、13.3型のワイド液晶を初めて採用するなどの機能強化を図った。これらの上位機種では、モバイル向けの新プラットフォームCentrino Proや、OSの起動速度を高められるインテルの新技術Robson(開発コードネーム)に対応している。

 さらに、コンパクト液晶一体型のLXシリーズのデザインを一新。富士フイルムの顔認証技術「フェースサーチナビ」を搭載したAV管理ソフト「3D Media Surfing」の標準搭載によって、デジタル写真から同一の顔を検索するといった使い方も可能にした。

 このほか、東芝、日立なども新製品の投入を予定しており、大手メーカーの新製品が5月にかけて投入されることになる。だが、市場関係者の見方は極めて慎重。夏モデルでは起爆剤になるといえるものがないという厳しい見方も出ている。
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