大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>35.NECが新設したショールームの本当の役割

2007/02/05 18:44

週刊BCN 2007年02月05日vol.1173掲載

 NECおよびNECパーソナルプロダクツは1月19日、東京・西新宿の新宿センタービル地下1階に、「NEC・くらし・PC・わくわくリビング Supported by Intel」を開設した。

 Bit-innやC&Cプラザ、C&Cセンターといったショールームを開設してきたNECは、その後、すべてを廃止。今回のショールームは数年ぶりに開設した、同社唯一のものとなる。

 名称に「リビング」の名をつけたように、Windows Vistaを搭載した最新PCと最先端のホームネットワーク環境によって、リビングを中心とした家庭内での利用シーンを提案しているのが特徴である。

 Vista搭載の個人向けノートPC「LaVie」シリーズ、個人向けデスクトップ「VALUESTAR」シリーズを発売前から展示し、常設の形で、日本で最も早くVistaを体験できる場ともした。

■販売店向け展示提案の場に

 だが、このショールームの狙いは、コンシューマに対するアピールだけではない。

 販売店に対する教育の場、そして、販売店への展示提案の場ともなっている。

 NECパーソナルプロダクツの高塚栄執行役員は、「家庭へのPC普及率は80%近くにまで高まり、平均所有台数は約1.5台に達している。1人1台の環境がさらに進展し、PCとAV機器を接続するといったネットワーク化はこれからが普及段階。PC市場もこれからが第2の成長期だといえる。だが、ホームネットワーキングの現状を、具体的な形で見せる場がないのが問題だ」と語る。

 高速PLCやIEEE802.11n、さらには、HDMIといった新たなホームネットワークインフラの取り扱いは、販売店にとっても避けては通れないもの。だが、販売店では、展示提案がほとんど行われていないのが現状。目に見えないネットワーキングの展示に苦心している。

 「この場所で販売は行わないし、新たなショールームの開設も予定していない。可能性があるとすれば、販売店の中に同様の展示を行う形態」と高塚執行役員が語ることからも、販売店との連動を視野に入れていることが明らかだ。「販売店の方々に来ていただき、最新のネットワーク技術に触れるとともに、今後の重点課題といえるホームネットワークの展示のヒントにしていきたい」と、同ショールームの責任者であるPC事業本部マーケティング本部プロモーション企画部・宮本保之マネージャーは語る。

 また、商品企画本部の社員も入れ替わりで待機し、ユーザーとのやりとりを通じて情報を収集。これを商品企画に生かすのも、このショールームの役割となる。

■「くらし」を入れた理由

 印象づけられたのが、ショールームの名称だ。「NEC・くらし・PC・わくわくリビング」というように、NECとPCとの間に、「くらし」という言葉を入れた。

 こうした言葉の使い方は、まるで家電メーカーのようである。今後、NECが「くらし」提案に本腰を入れて取り組んでいく姿勢を示したものといえないだろうか。

 今回のショールームには、NECのそんな決意を示す役割もあると感じた。
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