臨界点
松下電器産業 パナソニックマーケティング本部 副本部長 平原重信
2007/01/01 18:45
週刊BCN 2007年01月01日vol.1168掲載
プラズマの半数をショップ店が売る 客単価アップにリンク機能で挑む
――プラズマ各社の出荷計画の下方修正に加えて、BCNランキングでもプラズマテレビの売れ行きが鈍化してきた印象があるが。「当事者の私たちとしては、そうした見方に大きな違和感がある。JEITAの発表でも、プラズマテレビは、上期が台数ベースで前年同期比75%増、10月は51%増、11月も44%増となった。液晶テレビに比べても成長率は高く、プラズマテレビ市場がシュリンクしているとは到底思えない。また、当社のVIERAは、2006年4─11月の累計出荷でも、台数で71%増、金額でも43%増と、いずれも業界平均を上回る実績となっている。BCNランキングで、プラズマテレビが前年割れになったと指摘された10月に関しても、当社は、台数で35%増、金額では19%増だった。BCNのデータを否定するつもりはないが、例えば、ナショナルショップ店での販売実績は、このデータには反映されていないはずだ」
――ショップルートでの最近の販売動向は。
「現在、SPS(スーパー・プロ・ショップ)と呼ばれる地域専門店が約8000店舗ある。このルートを通じた販売構成比は、パナソニック製品全体で約4割。とくに、プラズマテレビに関しては、約半分をSPSが占める。大画面・薄型テレビは、自宅での設置からサポートまで面倒をみてくれる地元のショップ店で購入する動きが顕著になっている。さらに、DVDレコーダーやビデオカメラ、デジカメとのセット購入も増えている。ショップ店では、VIERA購入者のうち、約3割がDIGAを同時に購入しているという結果も出ている。一時期、狭い店舗のSPSは、大型店舗に比べて不利だといわれたが、いまは逆に店舗が狭いことが武器になっている。その場で、薄型テレビとDVDレコーダー、ビデオカメラなどを一緒に選べるからだ」
――リンク機能の訴求がセット販売を押し上げる原動力になっていると。
「2006年度のパナソニックは、『画質』と『リンク』にこだわった。年度初めに『操作革命』を宣言したのも、ひとつのリモコンで複数のAV機器を操作する『ビエラリンク』で操作性を大きく改善することを狙ったからだ。当社の強みは、幅広い製品ラインアップにある。薄型テレビでは、プラズマも液晶もラインアップしている。さらに、Blu-ray DIGAも、SDカードムービーも、LUMIXブランドのデジタルカメラもある。ホームシアターを実現するためのオーディオ機器も含めてセットで提供できる数少ない1社だ。他のAV機器とのリンク機能は、価格の値下がりが激しいデジタル家電の客単価をあげるうえでも、効果があった」
――2007年のキーワードは。
「やはり、リンク機能だろう。リンクの対象がいま以上に広がる。テレビの後ろには、たくさんの接続端子の穴が開いているが、あれは何かにつなげるのが目的。つまり、穴の数だけビジネスチャンスがある。薄型テレビを中心に、ビジネスチャンスが広がるんだということをもっと訴えていきたい」
Corporate PROFILE
薄型テレビの大画面化が進むなかで、「VIERA」という統一ブランドのもとに、37型以上にはプラズマ、32型以下には液晶という両面作戦を展開している。プラズマでは06年11月のシェアは74.2%(BCNランキング)と圧倒的なトップ。一方、液晶でも12.3%とシャープ、ソニーに次ぐ3位に食い込んでいる。薄型テレビの普及が進むなかで、テレビとDVDレコーダー、ビデオカメラなどを1台のリモコンで操作できる「ビエラリンク」対応商品のラインアップを拡充。テレビを中心にAV機器を連携させるという総合提案に力を入れる。
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