店頭流通

米アップルコンピュータ リビング向けの製品に意欲 iTV投入で家電メーカーへ脱皮

2006/10/30 18:45

週刊BCN 2006年10月30日vol.1160掲載

 米アップルコンピュータのワールドワイドプロダクトマーケティング担当上席副社長のフィル・シラー氏が来日し、本紙の単独インタビューに応じた。同氏は、10月からスタートした新年度の方針などに言及。そのなかで、「iTVの投入を皮切りに、アップルはコンシューマエレクトロニクスメーカーへと進化する」と語り、リビングルーム向け製品群の投入に力を注ぐ姿勢を示した。

 フィル・シラー氏は、創業者であるスティーブ・ジョブズ氏に続く、同社ナンバー2といわれる人物。

 今回の来日は、10月から開始した新年度に合わせて、米本社が掲げる事業方針、将来の方向性などについて、日本法人と情報を共有することなどを目的としている。

 「今回のミーティングでは、日本のチームに対して様々な要求を出した。日本においても力強く事業を推進する」としており、国内における事業拡大に意欲をみせる。

 9月に終了した2006年度を振り返り、同氏は「マックの製品ラインアップを、すべてインテルベースのプロセッサに移行したが、顧客の混乱もなく、当初、想定していた状況よりもスムーズに移行できた」ことを成果としてあげた。

 国内においても、インテルマックの投入以降、シェアを若干引き上げており、BCNランキングでも9月の実績で4.1%のシェアを獲得している。

 第2点目には、iPodを新たな次元へと引き上げたことをあげる。iPodの累計販売台数は6000万台に達したほか、iTunes Storeからのダウンロード数も15億曲に達した実績に加え、米国では、新たにテレビ番組や映画のダウンロードも開始。「われわれが、当初想定していたiTunesの枠を越え、さらに、夢をも越えることができた」と語る。なお、日本での映像コンテンツの配信サービス開始については検討中と、これまでの発言を繰り返すにとどまった。

 今後、マイクロソフトがZuneを投入し、携帯音楽市場で新たな競合が現れることについては、「アップルはすべての競合に対して真っ向から挑んでおり、その点では、Zuneも脅威だとは思っていない。アップルはそれを越える製品を提供できる」と強気の姿勢を見せた。

 一方、07年度の事業展開のなかでは、来年第1四半期に「iTV」を投入する計画に触れ、「アップル製品の提供範囲に新たにリビングルームが加わった。iTVは、アップルが提案したというよりも、顧客のリクエストを形にしたものであり、リビングにいながら、iTunesライブラリに入っている音楽やiMovieのコンテンツをリビングの大画面テレビで視聴できる。コンピュータを中心とした、新たなデジタルライフスタイルをつくり出す」とした。

 さらに、「コンシューマエレクトロニクスビジネス、いわゆる家電ビジネスに進出する」として、家庭やオフィスだけでなく、自動車の中や、移動中でもエンジョイしてもらえるような製品を提供していく。アップルはコンシューマエレクトロニクスメーカーへと進化することになる」と、07年度が転換の1年であることを示した。
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