臨界点

グリーンハウス 専務取締役 佐野 譲

2006/10/23 18:45

週刊BCN 2006年10月23日vol.1159掲載

 パソコン周辺機器メーカーのグリーンハウスが、「iPod」対応をはじめ車載用、携帯電話関連など、パソコン以外の周辺機器で製品を拡大している。市場競争は激しいが、「パソコン周辺機器事業で蓄積してきたノウハウと価格競争力」を武器に「事業拡大のチャンス」と意気込みを示す。来年度(2008年3月期)には、総売上高の3分の1程度を占めるまでに新規分野を成長させる。 田沢理恵 取材/文 大星直輝 写真

PC周辺機器からマルチメディアへ展開 幅広いチャネルで価格競争力生かす

 ――従来からのパソコン周辺機器のほか、新たな市場開拓に積極的だ。

 「これまでパソコン周辺機器を中心にビジネスを展開してきたが、おかげさまで安定して成長している。それに加え、市場での差別化と事業拡大のために、パソコン周辺機器事業で蓄積してきたスピード感ある製品投入ノウハウと価格競争力を武器に、製品カテゴリーの拡充に乗り出した。携帯電話関連機器、iPod周辺機器、車載関連機器などのマルチメディア製品の展開を加速する。これらのマルチメディア製品については、来年度には総売上高の3分の1程度に成長させたい」

 ――携帯電話関連では、具体的にどんな製品を投入していくのか。

 「ナンバーポータビリティ制度の開始に合わせて、各キャリア対応の充電ケーブルや、今後携帯電話のメディアとして需要拡大が見込まれる大容量なマイクロSDカードを追加する。また、現在携帯電話のメディアとして主流なのはミニSDカードだが、今後はマイクロSDカードに置き換わっていくことを見越して、不要になったミニSDカードを有効活用できるようなUSBアダプタも発売し、カードリーダーの販売強化を図る」

 ――好調なFMトランスミッターや、iPod関連製品については。

 「iPod用、携帯オーディオ用、音楽携帯電話用を順次投入しており、好調な販売を続けているため、今後もラインアップを強化し、さらに販売に注力していく。iPod関連製品については、11月中旬に40W出力のiPod用高音質スピーカを発売する。店頭価格1万2000円前後で販売することを見込んでおり、競合製品と比べると安価に提供できる。年末商戦の目玉商品だ。そのほか、今年8月から販売開始した自社ブランドの携帯オーディオ『KANA-GT』は、本体の中にFMトランスミッターを内蔵したユニークな製品だ。これについても年末商戦の目玉と考えている」

 ――幅広い製品展開だが、それに合わせて販売チャネルも拡大しているのか。

 「車載関連製品については、カー用品専門店での販売も行っている。また、新たな販売チャネルにホームセンターが加わった。ホームセンター大手5-6社での製品取り扱いも始まっている。さらに、GMSの開拓にも着手している」

 ――製品およびチャネルの拡大により、事業規模はどのくらいを見込んでいるか。

 「製品カテゴリーの拡大やチャネルの拡大により、売上高は昨年度の120億円から、今後2-3年で200億円に拡大させる計画だ」

 ――各種製品は、それぞれ市場の競争が激しい。グリーンハウスの強みとは。

 「全製品を通して価格競争力が強みだ。また、当社は、大手企業と違い規模は小さいが、そのぶん小回りがきく。当社の若いメンバーが、いいと思ったものはいち早く製品化している。市場のニーズに対応しタイムリーに製品を提供できるサイクルが確立できている。今後は、より早い製品提供サイクルを目指し、さらに品質管理の向上を図っていく」

DATA FILE
■カードリーダーの製品強化図る

 グリーンハウスは、「iPod」対応周辺機器、車載用周辺機器、携帯電話関連周辺機器の製品を拡大している。とくに、メモリ、メモリカード、カードリーダー、液晶ディスプレイ、ストレージなどのパソコン周辺機器事業は、安定収益が見込める事業の柱である。

 BCNランキングには、これらの製品のほか、自社ブランドの携帯オーディオ、ポータブルDVDプレーヤーなど幅広く登場している。

 図は、同社が展開するパソコン周辺機器のうち、カードリーダーの今年10月2-8日の製品別シェアを示したもの。製品別では複数のメディアに対応した「GH-CRSQ10-U2」が4位。メーカー別シェアでは、5.1%で8位となっている。今後のマイクロSDカードの普及に向けて、既存のメモリカードも活用できるカードリーダー需要の拡大を見込んでおり、年末に向けて製品強化を図る計画だ。
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