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デジカメ春商戦 キヤノンが一歩抜け出す展開に 「競合上回る最強の布陣」が奏功 ソニー、昨年以上の成果に手応え

2006/05/22 16:51

週刊BCN 2006年05月22日vol.1138掲載

 デジタルカメラ市場は、主要メーカーが15%前後で鎬を削っているが、4月は首位のキヤノンが2位以下との差を広げた。キヤノンは24.1%にシェアを拡大、2位のソニーに7.4ポイント差をつけて、混戦状態から一歩抜け出す展開となった。

 デジカメ市場は「シェア20%を獲るとN0.1になる市場」(芦澤光二・キヤノンマーケティングジャパン=キヤノンMJ・専務取締役コンスーマイメージングカンパニープレジデント)と指摘される。首位のキヤノンを含め上位メーカーは僅差のシェア争いを繰り広げる混戦状態が続いている。そんななか、キヤノンは今年度、「絶対的な地位を確立する」方針を打ち出した。この3月に「今年度はシェア25%奪取」を宣言、春商戦向け新製品7機種を投入して、「競合メーカーのなかでも最強の布陣」で挑んだ。

 今年の春商戦は、トップメーカーのキヤノンが手ブレ補正機能を搭載し、各社の高感度、手ブレ補正搭載の製品が並んだ。

 4月15日に発売したフラッグシップモデル「IXY DIGITAL 800 IS」は、BCNランキング機種別シェアでトップ。入荷待ちとなっている店舗もある。IXYに初めて手ブレ補正機能を搭載したことで「顧客の注目度が高く、現在はバックオーダー状態というほどの人気ぶり。売れるという確信はあったものの、予想を上回る売れ行き」(キヤノンMJ広報担当)という。

 キヤノンに続く2位のソニーは、今年の春商戦を「大成功だった」(青木陽介・ソニーマーケティング・デジタルイメージングマーケティング部パーソナルイメージングMK課統括課長)と振り返る。ソニーは、昨年秋の段階で、メーカー別シェアが5位前後で推移していた。その後、年末に発売した手ブレ補正搭載の「サイバーショットT9」が好調に推移。現在もランキング上位に君臨している。今年の春商戦については、シェアではキヤノンに及ばなかったが、「スペックではキヤノンに負けない最強のラインアップを投入できた」と自信を示し、昨年の春商戦を上回る確実な手応えを実感したという。

 デジカメ市場は現在、高画素、高感度、手ブレ補正が大きなトレンド。キヤノンMJは、これからは「質への転換期」であることを強調する。

 成熟市場のなかで、競合他社との差別化を図っていくには、「本当に良い画作りができなければ生き残っていけない」(芦澤・専務取締役)とみる。

 デジカメ市場は現在、かつて繰り広げられた画素数競争は一段落しているが、より高画素化へのニーズは依然として断トツといわれている。BCNランキングによると、昨年年末の時点で、500-600万画素の販売構成比が全体の45.6%を占めていたが、今年の春商戦ではワンランク上の600-700万画素へとシフト、51.9%を占めた。高画素化が進展したことで、現状では500-700万画素の製品が総販売台数の80%前後を占める状況だ。

 松下電器産業も昨年度からの好調を維持、今年度は事業の骨格を太くするために、さらにデジカメの強化を打ち出している。

 ソニーは現在、手ブレ補正を中心とした訴求に力を入れているが、一部機種には「液晶画面をファインダーとして使うだけでなく、写真を観るための画面」(青木・ソニーマーケティング統括課長)としてスライドショー機能を搭載している。買い替え需要の喚起に向けて、撮るだけでなく、観るための使い方も訴求していく。そのため、大画面化や画面の質を向上させるなど差別化を図っていく考えだ。

 デジカメ市場は、高機能化による買い替え需要をめぐって、さらに激戦が続きそうだ。
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