臨界点
セントレードM.E. 代表取締役社長 松崎博之
2006/05/22 18:45
週刊BCN 2006年05月22日vol.1138掲載
低価格路線で買い増し市場を開拓 新発想のデジタル機器で新ジャンル参入
――2005年、BCNランキングDVDプレーヤー市場で、首位を獲得した。昨年を振り返ると。「おかげさまで販売台数シェア13・8%でトップを獲得した。BCNランキングは、大手パソコンショップ、家電量販店などの実売データによるものだが、当社は、ホームセンターやGMS、CDショップ、レンタルショップなど幅広いチャネルに強みをもっている。そのため、全チャネルで考えると、恐らくBCNランキングのシェアを上回っているだろう」
――実際の販売実績は。
「DVDプレーヤー全体の市場規模は250-300万台くらいだ。当社は昨年度(06年3月期)、据え置き型のDVDプレーヤーのみで100万台の出荷を超えた。この実績から考えると市場全体では、BCNランキングのシェアの2倍くらいになっているかもしれない」
――今年度、DVDプレーヤーの販売はどのくらいを見込んでいるか。
「据え置き型のDVDプレーヤーについては昨年度を下回る85万台程度と見込んでいる。据え置き型のプレーヤーの需要は低下していくからだ。DVDプレーヤーを含め、DVDレコーダー、プレイステーションなど、DVDが再生できる製品の世帯普及率は、現在6-7割程度に達している。そのなかで、プレーヤーが、どのように食い込んでいくのかが課題だ。ただし、当社については、もともと、2台目3台目の買い増し市場をターゲットにした製品コンセプトで展開している。そのため、低価格を武器に2台目3台目の需要をもう少し先まで獲得できると見込んでいる。今年度、来年度前半までは、引き続きDVDプレーヤーに力を入れていく方針だ」
――据え置き型が縮小するなかで、どんな製品に力を入れるのか。
「据え置き型のほか、今年度はポータブルDVDプレーヤーを強化する。市場規模は小さいが、車の中や旅行などでの需要が見込める。今後は毎年、倍々ゲームで市場が膨らんでいくだろう。今年度は、ワンセグチューナーを搭載したモデルの発売を検討している。そのため、DVDプレーヤートータルでみると、前年程度の110万台の販売を見込んでいる」
――DVDレコーダー市場には参入しないのか。
「レコーダーの製品化も考えている。リビングでは、大手メーカーの製品を置きたいというニーズが高いが、個室の利用では、録画ができてもっと低価格な製品が欲しいというニーズが強い。そのニーズに応えるには2万円を切る価格でないと受け入れられないだろう。それも1万5800円や1万6800円クラスで実現したい。形状としては、複雑な操作を必要としない昔のカセットデッキのような製品を考えている。今年秋か年末の市場投入を目指している」
――今後の方向性は
「昨年度の売上構成比は、デジタル家電などのハードウェアが57%、記録メディアが43%だった。今年度は、さらにハードウェアに注力し、売上高を前年度比25%増に拡大させる計画だ。AV周辺機器や、通信機器などで新しい発想の製品を企画し、潜在需要を掘り起こしていきたい。新規事業開拓のために、他社との共同開発や、競合とのコラボレーションも行っていく。すでに、ブルーレイ、HD DVDの両方を再生できる次世代DVDプレーヤーの開発を始めているところだ」
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■個室需要の攻略で首位をキープ
セントレードM.E.は、2005年のDVDプレーヤー市場でBCNランキングの首位を獲得。今年に入ってからもトップを維持している。4月の機種別シェアでも「ADS-300V」が首位。同製品は据え置き型のDVDプレーヤーで、平均実売価格は4320円。2位のパイオニア「DV-484」(7429円)と比較すると圧倒的に低価格だ。ポータブルタイプのみでデータを見ても、セントレードM.E.「JPT-700W」が(1万4771円)首位。2位の長瀬産業「AXN4709TN-WH」(2万4384円)と比較すると、やはり圧倒的に低価格だ。
セントレードM.E.は、中国のOEM先と直結した管理体制を確立することで、コスト削減を図り、低価格路線を徹底しているという。「リビングのメインは、大手メーカーに任せて、子供部屋などの個室に置く」ことが製品コンセプト。買い増し市場をメインターゲットとしている。
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