店頭流通

ワコム 次期Office、ビスタに期待 一般層へのタブレット訴求が奏功

2006/03/06 18:45

週刊BCN 2006年03月06日vol.1128掲載

 ワコム(山田正彦社長)が、タブレットユーザー拡大に弾みをつけている。コンシューマ向けタブレット「FAVOシリーズ」を世界市場で販売強化した結果、コンシューマ向けタブレット製品の売上高は、2005年度(06年3月期)第3四半期までの累計で、前年同期比53.1%増、国内市場は、同10%増に伸長した。今後登場する「office12」や新OS「ウィンドウズ ビスタ」は、ペン入力機能が搭載されることから、同社は「さらにビジネスが拡大する」(小見山茂樹・取締役執行役員オペレーションズ統括・統括GM)と、期待している。

 ワコムが昨年9月に発売したコンシューマ向けタブレット「FAVOシリーズ」は、同シリーズ発売から7年目で、4世代目となる。昨年11月の時点で販売台数の累計が100万台を突破した。同製品は、「耐久性が高く、販売台数とユーザー数はほぼ一致する」(大山和子・オペレーションズ統括営業本部流通営業部マーケティングGr.マネージャー)としており、「パソコンの世帯普及率3000万台と比較すると30世帯に1世帯が保有している勘定になる」(同)と、普及率の高さに自信を示している。

 同社は、昨年1年間のBCNランキングのタブレット市場で圧倒的なシェアを占めている。販売台数は、「前年比0.5%増」(小見山取締役)と微増ではあるが、同社の市場支配力には揺るぎがない。

 タブレットは、これまで専門的な知識を持つグラフィカルユーザーが多数を占めていたが、同社では、特定の市場だけでなく、一般のパソコンユーザーへの普及を推し進めていく方針だ。そのために、タブレットの新しい使い方の提案を拡充しており、2年ほど前からは、女子高生向け雑誌への広告掲載を開始。「ここ2年で若年層ユーザー拡大に弾みをつけている」(大山マネージャー)という。昨年年末は、東京、大阪の一部店頭で同社のタブレットコーナーを設置し、露出度を上げるための販売宣伝活動を強化した。

 今年は、ペン入力機能が搭載される「Office12」やOS「ビスタ」の登場で、ビジネスの拡大にさらに弾みをつける計画。コンシューマ向けの「FAVOシリーズ」や、プレゼンテーションなどでマウス代わりに利用できるビジネスユーザーをターゲットにした「ビズタブレット」の拡販に力を入れていく。

 そのほか、同社では、パソコンメーカーに提供しているタブレットPC向けコンポーネントが前年同期比74.6%増と大幅に拡大。各パソコンメーカーのタブレットPCへの取り組みが広がっているという。

 「今後は、キーボード入力とペン入力が共存する時代になる。現在はその過渡期とみていいだろう」(小見山取締役)と、タブレットビジネスの拡大を確信している。
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