秋葉原は今

<秋葉原は今>15.課題は駐車場の案内システム

2006/03/06 16:51

週刊BCN 2006年03月06日vol.1128掲載

 秋葉原UDXのオープンに先立ち、約800台の車を収容できる「UDXパーキング」が1月30日に稼働した。

 この駐車場は、数々のIT技術を駆使しているのが特色である。例えば、カメラ付き携帯電話で場内の柱に掲示されたQRコードを撮影すると自分の車の駐車位置を表示するほか、NTTドコモの「おさいふケータイ」を駐車券として利用できる、ETC(自動料金収受システム)の次世代版「DSRC」対応の車載器をつけた車両であれば窓を開ける必要なく入出庫が可能などだ。駐車場が広いということもあって、車まで電動カートで送迎するサービスも提供しており、幅広い年齢層が活用できるようになっている。

 3月8日までホームページ上で1時間無料券を配布していることもあり、この駐車場を利用しようとする車で週末には大混雑することもある。平日は1日駐車しても料金が2000円と割安なため、秋葉原地区に仕事で訪れた会社員が多く利用しているようだ。

 これまでも秋葉原ダイビルやヨドバシカメラのオープンなどで、秋葉原地区には駐車場が増えている状況にある。UDXパーキングの稼働で、秋葉原への車利用者が増えることは間違いないだろう。

 駐車場が増える一方、課題として残っているのは駐車場の案内と誘導の効率化だ。これまで秋葉原は、ほかの地域と比べて駐車場が少なかったことから、自動車を誘導する案内板などが極めて少ないのが実情。こうした課題を解決するため、千代田区まちづくり推進部では秋葉原地区の再開発にかかわる開発事業者や行政、周辺の地元町会や団体などが集まった「秋葉原駅付近地区まちづくり推進協議会」を04年度から設置、「秋葉原駐車場案内・誘導システム検討委員会」を実施してきた。さまざまな方面からの意見を採り入れるため、委員長に日本大学理工学部社会交通工学科の高田邦道教授、副委員長に千代田区の座間充・まちづくり推進部長が就いたほか、東京都の建設局や都市整備局、警視庁都市交通対策課や万世橋警察署交通課なども参加し、システム構築の実現に向け意見が交わされた。

 この委員会での議論をもとに、基本構想として、国土交通省が開発した駐車場案内・誘導システムを導入する計画が決定された。同システムは、道路の案内板や車利用者のカーナビシステムを利用し、空き駐車場の情報を配信できるようにする予定だ。千代田区では、05年度中に実証実験として同省の認可取得を目指すという。具体的な内容は、今まさに詰めの段階に入っている。(佐相彰彦)
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