臨界点
ソースネクスト 松田憲幸社長
2006/02/13 18:45
週刊BCN 2006年02月13日vol.1125掲載
コモディティ化戦略がヒット!2年間で1000タイトル発売を目指す
――05年冬商戦は、どうだったか。「販売本数は、前年同期比30%増以上を達成した。これまでのなかで最も良い年だった。パソコン専門店や家電量販店の来店者は、パソコンや関連機器を購入するついでに当社のソフトも購入する傾向が高まっている。最近は、ユーザーから店に『1980円のソフトが欲しい』などという問い合わせがあると聞く。これは、パソコンソフトを普及させる『コモディティ化戦略』が浸透してきた現れだ」
――500円という破格値で昨年12月に発売した「ウイルスセキュリティ500」の販売状況は。
「順調だ。この製品は、コンビニエンスストアの来店客1人あたりの購入価格が560円程度であることを視野に入れて発売した。旅行で使う携帯容器入りシャンプーと同じ感覚で、ウイルスセキュリティ500も有効期間を3か月間と、通常の4分の1に縮めて価格を安くした。これにより、コンビニエンスストアでの〝ついで買い〟も浸透しつつある」
――低価格にこだわる理由は。
「パソコンソフトを普及させるためには、ユーザーが負担と感じずに購入することが重要だと考えるからだ。商品を購入するうえで価格を重視するユーザーはけっして少なくない。欲しいとは思っても1万円で売られていたため手を出さなかった人が、1980円にすることで購入してくれれば、パソコンソフトの知名度を上げることになる。しかも、パソコンの用途提案を拡大することにもなり、そのことがパソコンユーザーを増加させることにもつながるのではないか」
――“テレパソ”などパソコンのAV(音響・映像)機能強化について、ソフトメーカーとしてどのように考えるか。
「パソコンの使用頻度を増やすという点ではAV化はメリットがあるといえる。ソフトメーカーにとっても、AV機能を含めたソフトの市場投入を模索できるようになるなど、新しいビジネスチャンスが広がる。当社としても、今年中をめどにAV機能を生かすようなソフトの発売を検討したい」
――新ジャンルの創出など今後の方向性は。
「今後2年間で1000タイトルまで揃える。顧客が求めるソフトを手頃な価格で提供することがコモディティ化戦略の根幹になる。そのため、ユーザーニーズに合った製品を中心に発売していく。もちろん、コアテクノロジーを生かして当社から需要を喚起するような製品も市場に投入していく。コモディティ化戦略が本格化した03年度から売り上げが5年間で3倍になれば成長を実感できると思う」
――海外展開については。
「3年後をめどに海外市場に進出する計画だ。まずは、米国市場へ参入し、欧州やアジアでもビジネスを手がけるつもりだ。販売会社に限らず、開発拠点でも海外を活用することも検討する。国内のパソコンソフトは、海外からの輸入品が多いのが現実だ。国産品を大幅に増やしていくことが重要であり、日本発のソフトを海外で販売することが当たり前になるようにしたい。コンピュータ業界の製品は、ほかの業界と異なり、ワールドワイドで売りやすいと確信している」
――海外での価格については。
「まだ、具体的な価格設定を決めてはいないが、『1980円』のように統一した価格帯で提供していくつもりだ」
DATA FILE
■携帯電話ソフトで45%以上のシェア
ソースネクストは、複数のパソコンソフト市場でトップシェアを獲得している。なかでも、携帯電話ソフト市場では06年1月のメーカー別販売本数シェアで45.4%と他社を圧倒的に引き離した。
2月3日には、携帯電話メモリ編集ソフト「携快電話13機動戦士ガンダム特別版」を発売した。同製品は、ガンダムの主要キャラクターであるアムロ・レイとシャア・アズナブルの音声で操作をナビゲートすることが売り。音声ガイドのセリフは携快電話用に作成し、声優によって新しく収録した。価格は、NTTドコモの携帯電話「FOMA」のUSBコードが付いたパッケージが1980円など。松田社長は、「パソコンユーザーのボリュームゾーンである30-40歳代の男性は、“ガンダム世代”といえる。この製品で、携帯電話ソフトの新規顧客を拡大する可能性は十分にある」と、シェア拡大戦略に余念がない。
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