臨界点

メガソフト 井町良明社長

2006/01/30 18:45

週刊BCN 2006年01月30日vol.1123掲載

 昨年10月の前坂昇社長の急逝を受けて、メガソフトの2代目社長を任されたのが井町良明氏だ。ユーティリティ、エディタ、通信など、パソコンの黎明期から現在に至る市場を支えてきた実績に加えて、3Dで新たなビジネスモデルを切り開いた同社を、今後どのように発展させるのか。新社長の手腕に期待が高まる。 倉増裕/文 斉藤友也/写真

2010年に3Dシリーズ全体で100万本の累計出荷を目標に

 ――メガソフトの方向性を。

 「ソフトプロダクトを限りなく磨き上げるとともに、ソフトに付随するサービスをさらに充実させるという基本方針に変化はない。3D、通信、エディタ、ユーティリティ、生活など、得意とするソフト分野を継続し、発展させる。現在の社員数は40名強だが、規模的にはベストと考えている。規模拡大や上場を目指す企業とは一線を画した方向性は今後も徹底する」


 ――主力商品である3Dについて。

 「3Dマイホームデザイナーを発売して今年でちょうど10年。一般家庭での3D活用という当初のターゲット以外に、設計事務所や工務店などプロからの要望が高まり、ラインアップを拡充した。この3Dシリーズは、マイホームを計画するという楽しみに加えて、注文主とビルダー側とのコミュニケーションが飛躍的に深まるという実利的なメリットが評価を得た」

 ――サービス面での戦略を。

 「デザインコンテストも今年で9年目。応募数も飛躍的に増え、日本でも最大級の住宅デザインコンテストとして定着した。ユーザーのモチベーションを高めつつ事例が蓄積される効果は大きい。最近は学生の参加も増え、ユーザー層の広がりを感じる。また素材ライブラリー『データセンター』では現時点で2万点を超える素材データを用意、新規ユーザーは半年無料で利用できる。これら付帯サービスが当社の3Dシリーズを支えている」

 ――今後の販売予定について。

 「住という生活の基本要素に絡む商品なので、すべての世帯が潜在ユーザーということになり、今後さらに期待は膨らむ。家庭用・プロ用を含む3Dシリーズ全体の累計出荷は昨年末時点で45万本。1年平均だと4~5万本の計算だが、最近の伸び率を考慮すると、2010年中には100万本を達成したい。汎用以外の特定アプリケーションで100万本突破というのは、ソフトメーカーにとって大きな目標だ」

 ――そのための戦略を。

 「まず販路の拡充を図る。DIYその他の新規チャネル開拓に加えて、既存チャネルでの更なる露出アップを図る。ホームユース3D分野でトップといっても、一般家庭レベルでの認識はまだまだ低い。この商品は視覚に訴える商品なので、まず見てもらえば理解は早い。メーカーや流通企業とのアライアンスにより、3Dシリーズの楽しさを全国の家庭に伝えたい」

 ――商品戦略について。

 「エディタのMIFESやFAXソフトSTARFAX、データ同期ソフトACCUSYNCなど、根強いユーザーに支えられてきた商品については、最近の環境変化によって使い方にも変化が生じている。例えば数百メガのログファイルを管理するためにMIFESを利用するなど、新たな需要が生まれており、これらの変化に柔軟に対処した商品戦略を進める。グループ企業であるライフボートと夢工房が開発するプロダクツについても、新たな需要を開拓できる可能性が高いと見ている」

 ――開発ポリシーを。

 「ユーザビリティの向上に尽きる。3Dだけでなく当社のあらゆる商品において、ユーザビリティの追求は至上の命題。昨年春に専用検証ルームを新設、ユーザーの視線の微妙な揺らぎをも徹底的に検証し、操作性に反映する。ユーザビリティのあくなき追求が当社の大きな使命でもあると感じている」

DATA FILE
■3Dソフト市場で40%前後のシェア

 昨年1-12月の1年間の3Dソフトの店頭販売は、本数ベースで前年同期比5.1%増となり前年を上回った。金額ベースでは99.2%で前年割れとなっている。

 3Dソフト市場は、メガソフトとイーフロンティアがそれぞれシェア40%前後、両社の合計が全体の80%に達し、トップ争いを繰り広げている。昨年後半はイーフロンティアが首位をキープしていたが、12月にメガソフトが首位に返り咲いた。

 BCNランキングでは、3D、ドロー系、ペイント系などのソフトをグラフィックスソフトに分類している。昨年12月は、グラフィックスソフト全体の製品別シェアのなかで、メガソフトの「3Dマイホームデザイナー2006 オフィシャルガイドブック付」は2位。同社の「マイホームデザイナー」シリーズは、グラフィックスソフト全体のなかでも年間を通して上位にランキングしている人気製品である。

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