店頭流通

ビックカメラ ソフマップを連結子会社に 中古の買い取り、販路拡大にらむ

2006/01/16 18:45

週刊BCN 2006年01月16日vol.1121掲載

 ビックカメラ(宮嶋宏幸社長)が1月5日、ソフマップ(桜本克次社長)を連結子会社化すると発表した。05年1月以降、ビックカメラが筆頭株主となり業務提携を行ってきたが、ソフマップの業績が改善しないため、資本関係を強化する。ソフマップがビックカメラのグループ会社として再建を図り、業績が上がることになれば、家電量販業界の勢力図に変化をもたらす可能性も秘めている。

 ソフマップは、ビックカメラと資本・業務提携を締結、ビックカメラに対して普通株510万株と優先株757万7500株を割り当てる。払込期日は今年2月28日で金額は20億円。ビックカメラは持ち株比率が14.47%で筆頭株主となっていたが、今回の増資により持ち株比率は61.56%と大幅に増えることになる。

 経営陣も大幅に刷新する。今年2月28日付けで、ビックカメラの野口進取締役関連事業部長がソフマップ社長に就任する予定。ソフマップ側では、桜本克次社長が専務に降格するほか、山科光男会長や松井幹利取締役・ソフマップソフト社長などの退任を予定している。

 業務提携では、中古品におけるビジネスモデルの構築や新品の仕入れ、オリジナルパソコンなどの開発、パソコン関連機器以外の販売、店舗展開などで協力関係を強化。ネットビジネスや法人ビジネスでも連携を図っていくほか、コールセンターや修理センターなどサポート面でもアライアンスを組んでいく。

 最近の家電量販業界は、02年に大手家電量販店のエイデンとデオデオの2社がエディオンとして統合したことをはじめとして、04年にケーズデンキが中堅量販店のギガスと八千代ムセン電機を傘下に収めるなど、マーケットシェア拡大に向けた大規模な再編が続いている。昨年には、ノジマとグッドウィルの業務提携など中堅企業同士がアライアンスを組む動きも出ている。
 売り上げ1兆円を目指せる企業規模になるか、もしくは専門性の追求でどの企業にも負けないキラー商品を販売するなどといった企業体質をつくらなければ、この業界では淘汰される時代に入ったといえる。

 ソフマップは、期初に見込んでいた売上高1014億円、経常利益1億円、最終損失4億6000万円の今年度(06年2月期)通期連結業績見通しを、10月の時点で売上高1000億円、経常損失100億円、最終損失93億1200万円に下方修正している。業績が上がらないことがビックカメラの連結子会社として抜本的な再建を余儀なくさせた原因。

 再建の内容については現段階で明らかにしていないものの、ビックカメラにとっては資本関係の強化で、「より一歩踏み込んだ業務提携を進めながら、それぞれが独立した会社として運営する」という枠組みを目指しているという。

 両社の業務提携は当面、新品商品の仕入れや、現在ビックカメラで行っている中古品の扱い窓口拡大などが中心になりそうだが、ビックカメラにとってソフマップを傘下に収めるメリットは、やはり中古パソコンの販売ノウハウだろう。

 特に、パソコン市場が買い換え需要主体になっているだけに、ビックカメラで新品購入時に下取りしたパソコンや家電製品を、ソフマップで中古品として再生、販売するルートが確立できれば、ビックカメラにとってもソフマップを傘下に収める意味は大きい。

 ビックカメラがソフマップの経営をテコ入れすることで、両社のノウハウを最大限に生かしたビジネスを展開するようになれば、近い将来、両社がさらに踏み込んだ経営統合に至る可能性もある。

 あえて株式を公開してこなかったビックカメラにとって、公開企業のソフマップを子会社として再建できれば、株式市場からの資金調達ルートを確保できる可能性も見えてくる。
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