秋葉原は今
<秋葉原は今>6.新ビジネスの創出へ
2006/01/02 16:51
週刊BCN 2006年01月02日vol.1119掲載
ぷらっとホームの鈴木友康社長は、「リアルショップのオープン当初に掲げた役目が終わったため」と、閉店の理由を話す。そして「自然の流れ」とも付け加える。というのも、「秋葉原店は、アンテナショップの役割を果たしていた。以前は、当社が先端技術を駆使して独自に開発した製品を店に展示すれば、コンピュータに詳しいユーザーが店で情報を収集し、手に触れようと訪れた。ところが、最近はインターネットの充実で、ユーザーが来店しなくても済む環境になった」という。
実際、同社でもインターネットでの情報配信には力を入れている。最新の情報を提供する点では、リアルショップを運営していく必要がなくなったというわけだ。
06年から一段と力を入れていくのは、「世界に通用する基礎技術を開発する」(鈴木社長)こと。当面は、サーバーやネットワーク機器の開発など、「プロダクトで業績を伸ばしていく。夏までには、どのような基礎技術を開発するかを、具体的に内容を詰めていきたい」としている。
同社は、05年5月からJR秋葉原駅前の超高層ビル「秋葉原ダイビル」にテナント入居した。
秋葉原ダイビルは、JR秋葉原駅前の都市再開発のなかで、東京都や千代田区が秋葉原地区を“世界屈指のIT拠点”として変貌させるために建設した新アキバのランドマーク的存在。企業と大学が共同開発を行う「産学連携機能」を活用して、同社でも大学との共同開発を進めていく予定だ。
ショップを閉鎖したからといって、電気街との連携がなくなるわけではない。現在でも同社は秋葉原電気街振興会の会員。むしろ、「電気街と組まなければ成り立たないビジネスも出てくるだろう」と新たな構想を温める。既存ビジネスを捨て、新しいビジネスを創出する点では、街の変化に柔軟に対応しているといえよう。(佐相彰彦)
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