秋葉原は今

<秋葉原は今>5.パソコンで利益を確保する

2005/12/19 16:51

週刊BCN 2005年12月19日vol.1118掲載

 クリスマスや年末年始を控え、秋葉原電気街の家電量販店が活気を帯びている。12月に入り、本格的な寒さが続いていることから、各ショップの売れ筋商材は暖房器具。冬のボーナス時期である12月第2週(5-11日)は、ハロゲンヒーターやカーボンヒーターの販売が前年と比べ1.5倍以上に膨れ上がったショップが多いようだ。「明るく年を越せる」と、担当者も自然と顔をほころばせる。

 一方、薄型テレビなどデジタルAV(音響・映像)機器は需要が増えているにも関わらず、低価格化に歯止めがかからず、粗利率が減少傾向にある。パソコンの販売に関しても、値段を下げれば台数は増えるものの金額は伸びないというジレンマが続く。なかでも、日本最大の激戦区である電気街はヨドバシカメラの秋葉原進出もあり、価格競争は激しさを増すばかりだ。

 そうしたなかで、パソコンや薄型テレビなどデジタル情報機器の大型商材についてビジネスモデルを抜本的に見直す動きが出てきた。ラオックスは、「売れ筋モデルだけに絞っている」(山下巌広報IR室長)販売に切り替えた。今秋冬商戦は、メーカーが発売しているラインアップのなかから販売するモデルを30機種に抑えた。12月には、各ショップで“当店の一押しモデル”と称し、売れ筋モデルをさらに3機種に絞って集中的に販売することを徹底。これにより、パソコンの販売は、「台数が減少しているが、利益は前年を上回っている」との成果を収めつつある。

 また、秋葉原の旗艦店「ザ・コンピュータ館」ではBTO(受注生産方式)パソコンのビジネスが堅調に推移。パソコンフロアでは、デルの「デル・リアル・サイト」やNECの「NECダイレクト」、ソニーの「ピーシー・イー・テーラー」など、来店者がウェブでBTOモデルを購入できる環境を充実させている。エプソンダイレクトやソーテックのパソコンでは、ザ・コンピュータ館限定の店頭BTOモデルを用意。売上高については具体的に明らかにしていないものの、「売上比率は徐々に高まっている」。

 薄型テレビの販売でも、ラインアップを絞る作戦が功を奏している。「デジタル機器は、マーケットを考えた販売が利益増につながる」と自信をみせる。(佐相彰彦)
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