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TDKとTDKマーケティング 2.1chスピーカー事業を強化 360度で自然な音を再現 PC用に続きAV用も投入

2005/12/05 18:45

週刊BCN 2005年12月05日vol.1116掲載

 TDKは、スピーカー事業の強化に乗り出した。2.1chでパソコン用に適したアンプ内蔵マルチメディアスピーカー「SP─XA60」(9800円)を6月に発売したが、AV用途も意識した上位モデルを近く投入する。「フラットパネル・サテライトスピーカーという独自方式を採用しており、すべての方向に音が放射、拡散されるため、どこにいても自然な音を楽しむことができる。この特徴を前面にだし、パソコン用はもとより、家庭の居間への普及も図る」(TDK下山秀一主事)方針だ。

 「2.1chの市場規模は、国内で年間約15万台、スピーカー市場全体に占める比率は約4%といったところでそう大きくはないが、アップルのiPodの普及が代表するように、外でも家でもきちんとした音を聞きたいというニーズは高まっている。それに応えるのがXAシリーズだ」(下山秀一TDKレコーディングメディア&ソリューションズビジネス・グループペリフェラル商品部商品開発課主事)と位置付ける。

 TDKは5年前に、英NXT(New Transducers Limited)と平面型サテライトスピーカーを共同開発してスピーカー市場に参入した。

 従来のコーン型スピーカーは前方にだけ音が放射され、とくに周波数が高くなるほど指向性が鋭くなるため、左右のスピーカーを底辺とした三角形の頂点が最適なリスニングポイントとなり、それ以外の場所では音のバランスが変化するという問題があった。

 それに対し、NXTフラットパネル方式は、フラットパネルの振動板全体を振動させることで、すべての方向に音を放射、拡散できるようにした。「前にも後ろにも音が広がり、360度の指向性を持つ。距離によるサウンドエネルギーの減衰も少なく、どこにいても自然な音を楽しむことができる」(中島慶之TDKマーケティング営業部メディアソリューションズマーケティング課マネージャー)という特徴を持つ。

 こうした特徴を最大限発揮させるため、「サブウーハーも含めて新規に設計し直した。音に対する感覚は国によって違うので、日本人向けのチューニングはTDKが行った」(下山主事)というのが現在企画中の新製品。

 XA60は、7月の発売以来、「市場はまだ小さいが、販売台数は月ごとに記録を更新、順調に伸びている。フラットパネル・サテライトスピーカーの良さが認知されてきた結果だ」(中島マネージャー)という。

 予定している新製品は、上位モデルになる。サブウーハーは縦置き、横置きが自由なコンパクト設計低音用(20W×1)と中高音用(7W×2)の独立したマルチチャンネルアンプを内蔵、トータル出力34Wで、バランスが取れ、とくに低音領域でひときわ豊かな音場再現ワイヤレスリモコンで操作可能──などの特徴を持つ。

 「主な用途として、家庭の居間で利用されることを想定している。20―30型といった小型フラットテレビの外付けスピーカーとして最適」(中島マネージャー)として、発売と同時に販売店に売り場面積の拡大などを働きかけていく。

 BCNランキングによると、パソコン用スピーカーの3強は、台数ではエレコム、ソニー、サンワサプライ、金額ではBOSE、エレコム、ソニーの順になる。「各社の路線を一つの参考にしながら独自の販売提案に取り組む」(中島マネージャー)意向だ。
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