臨界点
ソニーマーケティング ホームネットワークプロダクツマーケティング部統括部長 田中良則
2005/12/05 18:45
週刊BCN 2005年12月05日vol.1116掲載
DVDレコーダーでトップ堅持 真価問われる「ブラビア」
――BCNランキングでは、今年もDVDレコーダーでトップシェアが確実だが、年末商戦の手応えは。「昨年は『アテネ五輪』の〝追い風〟もあり、DVDレコーダーの需要は大きく伸びた。今年の年末商戦は、その反動で各社とも、前年比伸び率は厳しい状況だ。薄型テレビのハイビジョン化が進展したことを受け、DVDレコーダーのハイビジョンモデルが伸びているが、逆に6万円から8万円以下の中間領域の商品が苦戦している。それだけに今後の商戦では、他社とはひと味違う付加価値機能の勝負になると思う。当社は、これまでの技術を生かして単価はキープしながら、高付加価値に踏み込んだ商品を揃えた」
――具体的にはどんな付加価値機能を。
「年末商戦に向けた新『スゴ録』は、コクーンやPSXで開発してきた機能を集約して、新しいDVDレコーダーの楽しみ方を提案できたと思う。たとえば、これまでの『おまかせ・まる録機能』に加えて、録画した番組を最後まで見たか、途中で見るのをやめたかという再生状態によって、ユーザーの好みを学習して自動録画できる機能を加えた。また、デジカメで撮影した画像を自動的にプロモーション風の映像アルバムに編集するx-ピクトストーリーなど、他社にない新機能を打ち出せた」
――来年のDVDレコーダー市場の見通しは。
「次世代DVDへの期待感は高いが、まだ規格統一などの先行きは見えない。前年比2ケタは伸ばしたいところだが、そう簡単ではないかもしれない。製品的には、地上波デジタル放送チューナーを搭載したハイビジョン対応の高付加価値モデルと、単価の安いスタンダードモデルに2極化するだろう。ハイビジョンは急速に普及するだろうが、まだ価格は高い。それだけに、現在の売れ筋である『RDR-HX50』のような基本機能中心の普及型モデルは、確実に残ると思う。この上位と普及モデルの両方で、どこまで高付加価値を追求できるかで来年の成長率が決まるだろう」
――ハイビジョン対応商品の普及はどこまで進むと。
「販売全体の中でのハイビジョン対応DVDレコーダーの比率は、台数ベースで11月半ばに20%を超えた。12月には台数で25%に、金額ベースでは50%を超える可能性もある」
――9月に発表した薄型テレビの新ブランド「BRAVIA(ブラビア)」の立ち上がりは。
「好調だ。当初は、年末商戦までにいかに新ブランドが認知されるかという課題があったが、これは達成できたと思う。次の段階として、まずはこの年末商戦に33型(インチ)以上のテレビのなかで、30%の台数シェアを獲得したい。このクラスでは、当社は40型と46型をラインアップした。32型以下の領域は、競合各社が譲らず、そう簡単にシェアを獲得できないと見ている」
――33型以上は、シャープとの競合になるが、差別化ポイントは。
「ブラビアは、高コントラストで鮮やかな色を再現できる。業界最高水準の広い視野角に加えて、色再現範囲(NTSC)比が他社製が70%程度であるのに対し、91%を実現した。また、スゴ録やハイビジョン対応カムコーダーなどの強力な商品とも連動させて高画質のメッセージを訴求していきたい」
DATA FILE
■DVD レコーダー戦線は“三つ巴”
BCNランキングの直近週次データ(11月14-20日)では、台数シェアでソニーが24.6%を獲得。松下電器産業を4ポイント差で引き離しトップを堅持している。3位の東芝は17.7%。4位の三菱電機(9.8%)、5位のシャープ(9.4%)との差は大きいことから、事実上、“三つ巴”の争いになっている。
製品別シェアでは、スゴ録「RDR-VH83」が1位を獲得し、上位10機種のなかにソニーの3モデルがランクインしている。ハイビジョン対応のスゴ録は、発売したばかりで、まだ上位には上がってきていない。
田中良則統括部長によれば、売れ筋がスタンダードモデルとハイエンドモデルに2極化して、中位モデルが苦戦を強いられるという。事実、6-8万円の中位モデルは、上位10位に2製品しか入っていない。DVD・HDDレコーダーのシェア争いは、ハイビジョン対応モデルが店頭に出揃う頃に本格化する。
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