石井克美のデジタル家電ナビ

<石井克美のデジタル家電ナビ>30.どうなる?!次世代DVD(1)

2005/11/07 16:51

週刊BCN 2005年11月07日vol.1112掲載

 10月4日から例年同様、千葉幕張メッセで開催されたCEATEC。本年は目新しい出展は少ないとの噂はあったが、次世代DVDを巡るカンファレンスやパネルディスカッションが催され、HD DVD、ブルーレイ両陣営は年頭のCES以来の熾烈な争い(?)を繰り広げ、大いに盛り上がりを見せていた。今号、次号で、最近の報道やCEATECで催されたパネルディスカッションで公表された内容をふまえながら、次世代DVDの方向性を推測してみる。

 注目すべきはHD DVDの方がメディアフォーマットだけでなく、アプリケーションレイヤーの話まで出てきている点である。ROMの発売がHD DVDの方が一足早いこともあって、先行していて当たり前なのだが、現状のDVDからすると意外でもある。HD DVDの規格は「DVDフォーラム」という大きな組織によるものだ。この中には無論ブルーレイ陣営の会社のほとんどが含まれているのだが、そうした中で、このスピードで物事が決まっていくというのは、驚嘆に値する。こうした背景には、インテルがマイクロソフトとともにHD DVDプロモーショングループに加入したことも大きく影響しているのかもしれない。家電、コンピュータ、コンテンツの世界最大手が、互いに競合して互換性のない2つの規格を市場に投入する準備を進める背景には、消費者の利益が無視されているとの判断があった、とインテル側では語っている。

 そしてHD DVD支持は「同規格が強制的マネージドコピーと約束」していることが判断材料になったとしている。強制的マネージドコピーとは、ユーザーが映像コンテンツを自分のホームサーバーにコピーして、家庭内のどこからでもアクセスできることを保証したもの。これにより、映画を携帯機器にコピーして外出先で見ることも可能になるのである。ユーザーフレンドリーであると同時に、映像産業全体へ与える影響も非常に大きなものになるはずだ。

 ブルーレイ陣営からは、いまだ強制的マネージドコピーを組み込むとの発表はない。単なる技術競争だけでなく、「コンシューマに優しい機能」──これもまた次世代DVDに求められるキーワードなのかもしれない。

 昨今の両陣営の動きを見ていると、昨年末から今年初めにかけて、ハリウッドを巻き込んでの争いになったこともあり、注目の舞台がROMに移ったといえる。現状は、どうもDVDフォーラムを背負っているHD DVD側が先行し、ブルーレイ側がその後を追いかけている感じだ。
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