秋葉原物語
<秋葉原物語>[第4部 イノベーション]50.(最終回) 街全体の連携を
2005/10/31 16:51
週刊BCN 2005年10月31日vol.1111掲載
東京都千代田区のまちづくり推進部は、「駅前の都市再開発はまだ途中だが、駐車場の整備をはじめ、秋葉原ダイビルの稼働やヨドバシカメラのオープンなどで集客が高まった。街は進化している」(担当者)と再開発に手応えを感じている。
来年3月には、秋葉原クロスフィールドの第2弾として、IT機能スペースおよび集客機能を持った「秋葉原UDX」が完成する。ますます駅前を中心に発展していくことになるだろう。東京都は、秋葉原地区を世界のIT拠点に変貌させることをコンセプトに再開発をスタートした。秋葉原ダイビルでのイベントや実証実験など、IT関連の取り組みも増えつつある。新しい文化が次々と入り込んでおり、「世界のIT拠点」に向け加速する。
もちろんトランジスタラジオを自作するためのパーツ店など、電気街発祥時からの雰囲気も残っている。昔ながらの店も軒を連ね、古い文化と新しい文化が渾然一体となっている。IT業界関係者の多くは、「新しい文化が入ったとしても、古い文化がすたれることがなく、上手く調和が取れていることが秋葉原の最大の特徴」と語る。
電気街は、これまでIT業界関係者をはじめ、パソコンマニアやアニメおたくの街というイメージが強かった。ところが、新しい店ができ、交通がより便利になった今では、幅広い年齢層が買物に、散策にとやってくる。秋葉原が一段と発展するためには、新しいビルがオープンするだけではなく、街全体が連携するような取り組みが効果的だ。
今は秋葉原電気街振興会などが秋葉原ダイビルをイベント会場で活用するケースが多い。行政や電気街の関係団体、駅前都市再開発の関係企業の連携に加え、市民の参加などがさらに広がることも秋葉原を動かすファクターになる。活性化に向けて街全体が一体となることで、街としてさらに大きな変貌を遂げることになるだろう。(佐相彰彦)
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