店頭流通

ENBIT ホームネットワーク事業に着手 合併で新市場への参入に本腰

2005/10/24 16:51

週刊BCN 2005年10月24日vol.1110掲載

 企業向けシステム開発を手がけるENBIT(高本修社長)が、個人向けホームネットワーク事業に参入する。テレビやDVDレコーダーなどデジタル家電機器のコントローラーの役割を果たすホームゲートウェイアプライアンスを2006年春をめどに商品化する。ホームネットワーク市場に参入することで、今年度(05年12月期)5億円の売り上げ見込みを、来年度には8億円にまで引き上げる。

 同社は、CADソフトの開発を手がけていたナコス・コンピュータ・システムズと制御ソフト開発の日本マイクロデバイスが今年10月1日に合併してできた。旧ナコス・コンピュータ・システムズは大塚商会のソフトウェアパートナーの1社で、新会社も大塚商会とのパートナー関係を引き継いでいる。両社とも業績は順調だったものの、「市場はオフショア開発やコスト削減など厳しい状況が続いている。新しい事業に着手できる体制を整えなければならない」(島啓志・代表取締役経営事業企画担当)ことから、新しい市場に参入することを目的に合併した。合併にあたり、日本マイクロデバイスは130人だった社員の3分の2程度を削減している。

 新規事業として着手したのは、ホームネットワークアプライアンスの開発。制御ソフト開発のノウハウを生かして開発を進めている。製品化では、ホームゲートウェイとしてCADソフトの顧客だった設備会社や警備会社を通じて家庭向けに販売するほか、家電メーカーへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給も検討している。島代表取締役は、「(ホームネットワーク事業を)利益を生み出す柱として拡大を図っていく」と積極的で、「この事業を軌道に乗せることで、最終利益率15%を目指す」方針だ。

 これまでCADや制御装置の開発など企業向けソフトの開発に手がけていた企業が個人向けソフト開発、およびアプライアンス開発に着手することについて島代表取締役は、「今後は、BtoBやBtoCといった垣根がなくなる」ことを理由に挙げ、新規分野参入により事業領域の拡大を図るとしている。
  • 1