秋葉原物語
<秋葉原物語>[第4部 イノベーション]49.最大の競合地区に変貌
2005/10/24 16:51
週刊BCN 2005年10月24日vol.1110掲載
秋葉原電気街でも、パソコン新モデルを拡販しようと躍起になっているショップが増えている。家電量販業界で最大級の売り場面積を誇るヨドバシカメラの秋葉原地区進出が業績にダメージを与えかねないからだ。実際、厳しい状況を強いられている激安を売りとしたパソコンショップもあるようだ。
もっとも、ヨドバシのオープン前と比べて、今では電気街全体の集客数は増えている。ショップによっては、秋冬商戦の立ち上がりは堅調な売れ行きをみせているところもある。ラオックスの「ザ・コンピュータ館」は8月26日にリニューアルしたことも手伝って、「リニューアル前とは全く異なった顧客層が来店している。新規顧客の獲得で売り上げも順調に推移している」(広報関係者)という。ある組立パソコン用パーツ専門店では、「ヨドバシカメラのパーツコーナーは、さほど脅威ではない」と強気の姿勢を見せる。「当店のお客さんは、これまで自作パソコン上級者や中級者が中心だったが、これから自作を始めようとするお客さんも増えている」と、来店者増に手応えを感じている様子だ。
秋冬商戦の序盤戦では、電気街の集客が好調なことを受け、リニューアルや他店にない商品を揃えたショップが業績を着実に伸ばしている。その一方で、変化に対応できないショップが淘汰されることも、今後は出てくる可能性がある。
最近では、JR秋葉原駅を通る山手線沿線や京浜東北線沿線、首都圏新都市鉄道「つくばエクスプレス」の沿線近くのロードサイドに店を構えるショップが、「お客さんから言われるようになったのが、ヨドバシカメラや秋葉原電気街との価格差。ヨドバシカメラのオープン後、近隣の住民が1度は秋葉原に出かけたのではないか」と、危機感をみせる。これまでは、近くの競合店の価格や品揃えを注視していれば良かったショップも、今後は秋葉原地区の価格や品揃えもチェックしなければならなくなったようだ。
首都圏近郊のベッドタウンは、都心への交通の便が良い。これにより郊外店にとって秋葉原が最大の競合地区になったというわけだ。(佐相彰彦)
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