店頭流通

iPodコーナーが店頭に続々登場 アップル、店頭支援をアピール

2005/10/17 18:45

週刊BCN 2005年10月17日vol.1109掲載

 アップルコンピュータが、携帯型デジタルオーディオ「iPod」コーナーの設置に力を注いでいる。主要な家電量販店のアップル製品専門コーナーでiPodを中核に据えた展示を行っているほか、携帯型デジタルオーディオコーナー内にiPod専用コーナーを設置。iPodを前面に押し出した展示で拡販を狙っている。ショップにとっても、来店者の増加につながるためアップルを後押しする。こうしたショップ支援で、iPodが携帯型デジタルオーディオ需要の火付け役を果たしている。(佐相彰彦●取材/文)

需要全体の底上げに貢献

■専用コーナーにスタッフが常駐

 ヨドバシカメラ新宿西口店では、携帯型デジタルオーディオコーナー内にiPodだけを展示する専用コーナーをこのほど設置した。同コーナーには、アップルから派遣されたiPodの専門知識に長けたスタッフが常駐し、来店者などからのiPodに関する問い合わせへの対応や接客に活躍している。こうした支援策を背景に、ヨドバシカメラ新宿西口店ではデジタルオーディオコーナーの来店者増に弾みがついている。

 同点のオーディオ・ビジュアルチームの嶋田幸一サブマネージャは、「アップルの提案と当店のコンセプトが一致したので設置したところ、そのコーナーを目当てに来店するお客さんも多くなった。お客さんに楽しさや分かりやすさを知ってもらう提案型コーナーになりつつある」と評価しており、「当店の新規来店者も増えた」という。

 ビックカメラ有楽町店では、アップル専門コーナーでiPodおよび関連機器の品揃えを充実させている。コーナーの入り口にiPodが視聴できるデモブースを設置しているほか、iPod専用ケースやイヤフォンなどアクセサリー品を販売。Macintoshコーナーの高橋亮主任は、「アップルコーナーを訪れるお客さんは、必ずと言っていいほどiPodを視聴する。最近は学生などの若者だけでなく会社員や高齢者なども訪れるようになった」と、新規顧客の開拓につながっていることに手応えを感じている。「来店者の増加に比例してiPodや関連機器の購入者も増えている」と、iPodを中心としたコーナー作りが成功していることに自信をみせる。

■ショップ支援が売れる秘訣に

 ヨドバシカメラ新宿西口店、ビックカメラ有楽町店の2店舗とも、iPodの販売が順調であるのに比例して、他の製品も売れるという効果が出ている。

 ビックカメラ有楽町店では、「これまでパソコンをほとんど活用していなかった人が、iPodの購入をきっかけにマックを購入するケースも出てきている。アップルユーザーを増やすには、iPodが火付け役となる可能性が高いのではないか」(高橋・Macintoshコーナー主任)とみている。

 ヨドバシカメラ新宿西口店は、「お客さんが集まるiPod専用コーナーを設置したことで、デジタルオーディオコーナー全体が活況を呈している。iPodの販売が加速しているだけでなく、携帯型デジタルオーディオコーナーにある他社製品も売れている」(嶋田サブマネージャ)と、専用コーナーの設置がアップルにとっては競合製品の売上増に寄与する形になっているものの、携帯型デジタルオーディオ需要全体の底上げに一役を担っていると語る。

 携帯型デジタルオーディオ製品の売上高については、「1か月平均で前年の2倍程度に伸びている」(嶋田・ヨドバシカメラ新宿西口店オーディオ・ビジュアルチームサブマネージャ)、「iPodの売り上げについては2倍近くの成長」(高橋・ビックカメラ有楽町店Macintoshコーナー主任)。ショップにとっては、メーカー提案型の専用コーナーを設置することが売上増に貢献しているようだ。iPodが売れている秘訣には、メーカー側からのショップに対するバックアップが寄与している側面も強い。
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