秋葉原物語

<秋葉原物語>[第4部 イノベーション]48.集客増で電気街が活性化

2005/10/17 16:51

週刊BCN 2005年10月17日vol.1109掲載

 ヨドバシカメラの秋葉原進出で、これまで秋葉原地区最大の売り場面積を誇っていたラオックスの「ザ・コンピュータ館」をはじめ、電気街のパソコン専門店や家電量販店の多くがショップのリニューアルを図り始めた。JR秋葉原駅前の様変わりとともに電気街も変貌を遂げつつある。

 また、最近では土曜日や日曜日になるとショップ恒例の週末セールが一段と加速。店頭価格の2-3割引きなど思い切った安売りで来店者を迎えるといった策を講じているショップが増えた。なかには、はっきりと「ヨドバシカメラよりも安い」などといったキャッチフレーズのPOPを店内に貼っている店舗もある。ヨドバシカメラが目的で秋葉原に来た学生やファミリーなどを何とか自店に呼び寄せようとする姿がそこにはある。

 秋葉原地区への集客が高まっていることを受け、ショップが来店者増に向けた取り組みを行うのは、電気街の活況が再び戻ってきたという証拠だ。郊外型家電量販店による国道沿いなどロードサイドへの大型ショップ出店が加速するにつれ、秋葉原電気街に家電を購入するために訪れる顧客が減り、多くのパソコン専門店や家電量販店が店を構えるという電気街の求心力がなくなりつつあった。しかも、フィギュアやアニメなどエンタテインメント性の強いショップが増え、徐々に“エレクトロニクスの街”という色が薄れつつあったのも事実だ。

 しかし今では、徐々にエレクトロニクスを中心に成長する街に復活しつつある。集客の高まりは、駅前の都市再開発が要因。街の集客を維持していくために今後は電気街の力も必要となってくるだろう。

 電気街の求心力を高めるためには、魅力をさらに伸ばすことが必要だ。大型店舗や小型店舗、パソコン専門店や家電量販店、組立パソコン用パーツショップ、部材店などさまざまな店が密集し、それぞれが他店に置いていない商材を揃えたり、どの店舗にも負けない安さで勝負するなど、自店の持ち味を生かして競い合うことが電気街の最大の魅力だ。電気街の来訪者に、「この店舗に入ってみよう」と思わせる店舗は、他店にはないオリジナリティがある場合が多い。しかも、そういったショップこそ何度も足を運ぶリピーター顧客に支持されている。

 これまで蓄積したノウハウを生かした独自性のある店の増加が電気街としての魅力を維持していくポイントになるだろう。(佐相彰彦)
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