秋葉原物語

<秋葉原物語>[第4部 イノベーション]47.PCサクセス、低価格で勝負

2005/10/10 16:51

週刊BCN 2005年10月10日vol.1108掲載

 秋葉原を本拠地とするラオックスが旗艦店「ザ・コンピュータ館(ザ・コン)」をリニューアルしたことで、パソコンの初心者層などリニューアル前のメイン顧客だったサラリーマン以外の顧客層も来店するようになった。“ザ・コンの底力を見せる”ことをコンセプトに実施した大改装で、新規顧客の獲得が成功したことになる。

 初心者層が秋葉原地区を訪れるようになったのは、ファミリーの顧客獲得に力を注いでいるヨドバシカメラの「マルチメディアAkiba」がJR秋葉原駅前に、しかも首都圏新都市鉄道「つくばエクスプレス」の秋葉原駅に直結した場所に店を構えていることが大きいといえそうだ。これまで秋葉原地区を訪れることがなかった家族が、電気街へも足を運ぶという傾向が強まっている。

 ヨドバシカメラの秋葉原進出は、現段階で“秋葉原ユーザー”を奪っているのではなく、秋葉原地区の集客力向上につながっているようだ。

 街の集客が高まっていることから、新しい商材の販売に着手するパソコン専門店も出てきている。サクセスでは、組立パソコン用パーツ専門店「1号店」と、液晶モニタの販売が中心の「2号店」を統合する計画を立てており、しかも統合店舗で薄型テレビなどデジタルAV(音響・映像)機器の取り扱いを開始する。

 同社は、“激安”を売りとしているインターネットショップ「ピーシーサクセス」で昨年からデジタルAV機器を販売していたことから、ネットで主婦層などを新規顧客として獲得した。芳澤信幸・経営企画室長は、「秋葉原地区に訪れるようになったファミリーを実店舗でも顧客として獲得する」と自信をみせる。

 デジタルAV機器を扱ったからといって、ファミリーが来店するとは限らない。そのため、インターネットショップと同様、「秋葉原で最も安い価格」(芳澤経営企画室長)を掲げる。しかも、「ヨドバシカメラのポイント還元による値頃感よりも安い」(同)と、ヨドバシカメラと真っ向から勝負することをアピールする。

 新店舗の具体的なオープン日は決まっていないが、「10月中にオープンしたい」意向で、今年の冬商戦で販売に弾みをつけていきたい考え。オープン1年後の売上高については40億円を目指す。インターネットショップと比べ、実店舗は運営コストなどがかかるといわれる。低価格で利益を確保できるかについては、「デジタルAV機器はパソコンよりも利益率が高い。そのため、低価格にしても十分に利益が確保できる」(同)とそろばんを弾いている。(佐相彰彦)
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