秋葉原物語

<秋葉原物語>[第4部 イノベーション]46.ラオックス、「ザ・コン」再起動

2005/10/03 16:51

週刊BCN 2005年10月03日vol.1107掲載

 ヨドバシカメラが秋葉原駅前にオープンした巨艦店「マルチメディアAkiba」は、9月16日の開店から連日多くの来店者で賑わっている。休日には、幼児を連れた若いファミリーをはじめ、カップルや高齢者など、さまざまな客層が同店を訪れている。

 首都圏新都市鉄道「つくばエクスプレス」の乗客が秋葉原駅に降り、そのままヨドバシカメラに向かうという光景も普通に見られる。ヨドバシカメラの関係者によれば、「週末に合わせて戦略的につくばエクスプレス沿線の住宅にチラシを配布している」のだという。幅広い年齢層が来店する点や商圏の広さなどから、ヨドバシカメラが早くも秋葉原地区の“顔”になりつつある。エレクトロニクスの街である電気街のショップにとっては、黙ってみているわけにはいかない、という状況だろう。

 当然のことだが、こうした状況を受けて電気街のショップが反撃の狼煙(のろし)を上げ始めている。

 秋葉原電気街を本拠地とするラオックスは、マルチメディアAkibaのオープンに先駆け、8月26日に旗艦店「ザ・コンピュータ館(ザ・コン)」のリニューアルを図った。新ザ・コンのコンセプトは、「デジタルライフ・スタイル提案と、初心者層にも優しいPC総合専門店」。1階は、デジタル機器の提案型フロアとし、なかでも携帯型のデジタルオーディオコーナーでは、ヘッドホンの品揃えも充実させ、お洒落感覚で音楽を楽しむスタイルを提案している。また、4階には人気の組立ロボットコーナーを新しく設置している。

 最大の狙いは、ザ・コンの「再起動」を図ることだ。山下巌・広報IR室長は、「秋葉原電気街はもとより、ザ・コンの“底力”を見せる」と対抗心をむき出しにしている。リニューアルが功を奏し、これまではサラリーマンが中心だった来店者層が、初心者層やロボットマニアなどにも広がりつつある。(佐相彰彦)
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