店頭流通
パソコンの秋冬商戦スタート 各社、需要増に絶対の自信
2005/09/26 16:51
週刊BCN 2005年09月26日vol.1106掲載
AV機能以外で活路見出す動きも
■当たり前になった“AVパソコン”年末に向けたパソコンの秋冬商戦が9月初旬からスタートした。パソコンメーカーが以前から訴え続けている「パソコンでテレビを視聴する」用途を、今回の商戦でも踏襲する傾向は依然高い。デスクトップパソコンでは、テレビチューナーを搭載したパソコンが主流となっているほか、ノートパソコンでもAV機能搭載パソコンが増えている。
富士通では、「パソコンが高画質なのは当たり前になっている」(三竹兼司・パーソナルビジネス本部パーソナルマーケティング統括部長)とし、32インチの大画面が“売り”の「FMVデスクパワーTX」シリーズを夏商戦に引き続き発売している。
東芝では、「電子メールやインターネットだけのツールから、音楽を聴く、DVDを見る、テレビを見るというツールに広がっていることがパソコン市場が伸びている要因」(長嶋忠浩・PC第一事業部PCマーケティング部長)とみており、秋冬商戦のキーワードとして「ノートPCがポータブルAVプレーヤーになる」と訴えている。
“AVパソコン”が当たり前になってきたことから、もう1度原点に戻り、インターネットとの連動性やオリジナルモデルの提供など、AV機能以外で競合他社との差別化策を見出す動きも出てきた。
NECは、秋冬商戦向けの全モデルにAV視聴ソフト「メディアガレージ(MG)」を組み込み、総合動画ポータルサイト「ビッグローブストリーム」にリモコンで簡単につながるようにした。5000本を超える同ポータルサイトのネット映像をリモコン操作だけで気軽に楽しめる。片山徹・執行役員専務は、「パソコンの付加価値を追求するためには、画質がきれいというだけでは薄型テレビとの競合といわれても仕方がない。パソコンの機能を追求しなければならない」と指摘する。
■市場には明るさ戻る
ソニーマーケティングは、購入者のライフスタイルに合わせたパソコンを提供するため、「バイオ・オーナー・メイド」をこのほど開始。店頭でもウェブを通じてCTO(注文仕様生産)モデルが購入できるように、デモブースを設置したショップの数を増やすことに力を注いでいる。
北村勝司・ITネットワークプロダクツマーケティング部VAIOMK課統括課長は、「パソコンがコモディティ(日用品)化したことで、市場は成熟期に入っている。自分だけの“こだわりのパソコン”を提案することが重要」と強調。店頭モデル以外にユーザーの選択肢を広げることで、パソコンの買い替えを促進していく。
AV機能の強化も、AV機能以外でパソコン本来の用途を改めて訴えるのも、パソコン専門店や家電量販店の間に、「パソコン販売は、昨年に比べれば伸びているのは確か」という声が多くなってきたことが背景にある。
電子情報技術産業協会(JEITA)のパーソナルコンピュータ事業委員会委員長でもある片山・NEC執行役員専務は、「パソコン市場は夏商戦で前年同期に比べ2ケタの成長をみせた。その流れが秋冬も続くだろう」と予測を立てる。
例年になく、この秋冬商戦は各社とも強気の販売計画を掲げており、薄型テレビの後塵を拝しながらも“AV頼み”に明け暮れた昨年に比べると、市場には明るさが戻っている。
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