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リコー 「伝説の名機」復活で生き残りに自信 「GR DIGITAL」

2005/09/26 18:45

週刊BCN 2005年09月26日vol.1106掲載

 「われわれは量を追うつもりはない。開発者がとことんこだわりを持った製品を出していけば、価格競争に巻き込まれることなく、利益も出していける」と自信を見せるのはリコーの坂巻資敏・常務執行役員である。デジタルカメラとDVDメディアを担当しているパーソナルメディアカンパニーのプレジデントだ。9月13日に伝説の名機「GR」の後継機として「GR DIGITAL」を発表した。プロカメラマンやハイアマチュア向けのコンパクト・高画質のデジタルカメラである。

 デジタルカメラ業界においてこれまでリコーの存在感は薄かった。現実にBCNランキングの2005年上半期データでは、販売台数シェア11位、販売金額シェア10位であり、これは最下位争いをしていることを示す。

 デジカメ業界はその成熟化にともない、下位グループは生き残れるかどうかどうかの瀬戸際に立たされているというのがもっぱらの見方だが、坂巻常務執行役員は意外に強気だ。

 「高画質のコンパクトフィルムカメラGRシリーズを最初に出したのは96年。銀塩カメラのシェア争いは決着がついた時期だった。でも、そのコンパクトさと高画質性は、プロカメラマンやハイアマチュアの方たちから高い支持を受けた。いまでは“伝説の名機”といわれ、中古機市場では発売時価格より2-3倍くらいの価格で取り引きされているモデルもある。画質の良さ、利便性の両面をとことん追求するという、開発者のこだわりきちんと見抜いてくれるユーザーがいるということだ。GR DIGITALは最高のタイミングで投入できたと思う。シェアは追わず、適正価格で販売でき、それなりの利益も出していくというビジネスモデルを今後とも追求していく」というのが坂巻常務執行役員の決意だ。「販売のリコー」の意外な側面である。
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