店頭流通
中国で人気急上昇のフラットテレビ 売れ筋は中国系ブランド
2005/09/19 16:51
週刊BCN 2005年09月19日vol.1105掲載
中国テレビ市場の主流がブラウン管タイプからフラットタイプへシフトしていることを受け、中国メーカー各社のフラットテレビ事業が活況を呈している。IT調査のデジタイムスは、2004年には22万台だった液晶テレビの販売台数が05年通年では92万台を超えると予測。フラットテレビの需要増加は今後も続き、ピークは今年の第4四半期(10-12月)にくるというのが大方の見方だ。国務院発展研究センター市場研究所は、「市場規模は第4四半期だけで60万台以上になる」と予測している。
大手家電メーカーである海信電器(ハイセンス)、四川長虹(チャンホン)、厦華電子は、05年上半期(1-6月)におけるテレビ事業の純利益を大幅に増加させた。四川長虹は、72億2100万元の売上高のうち、コア事業であるテレビ部門の収入が前年同期比21.2%増の47億2500万元を占めた。海信電器は、デジタル処理チップなどのコア技術が成功したことも奏功し、上半期は国内テレビ市場で前年同期比47%増を達成。輸出品については、フラットテレビの輸出高が総輸出高の60%以上となった。
フラットテレビが好調な要因として、「大幅な値下げ」のほか、メーカー各社が積極的に販売促進活動を展開すると同時に性能アップを実現したことが挙げられるが、フラットテレビに対する消費者の認知度が向上したことも大きな要因となっている。
陸刃波・国務院経済発展研究センター市場経済研究所副所長は、「直接の原因は低価格化にある」と分析。市場の主力製品となっている42インチプラズマテレビと32インチ液晶テレビの平均価格は、現在のところそれぞれ1万元、1万2000元だが、年末には8500元、1万元程度にまで下がると予測している。
一方、売れ行きが好調な反面、標準規格が存在しないこと、消費電力が多いこと、価格が全体的に高い水準にあること、技術的に安定していないことなど、業界全体が抱える問題が山積み状態にあることも事実。地上波デジタル放送の導入時期と重なることで、需要自体は増加の傾向をたどっても、それが企業の経営状況を圧迫する可能性は排除できないという一面もある。
また、フラットテレビ市場については、中国企業の製品が幅広く受け入れられていることが特徴として挙げられる。市場調査会社の中怡康時代市場公司によると、6月の中国におけるフラットテレビ市場シェアは、中国ブランド製品が国外ブランド製品の約2倍となる68.5%を占め、中国ブランドが優勢にある。液晶テレビ市場の卸売台数については、中国ブランド製品が66.7%で、同じく国外ブランド製品の約2倍となっている。
メーカー別でみると、シェアのトップ5はすべて中国ブランドで、全体の60%を占めていることが明らかになっている。携帯電話の市場シェアで欧米系ブランドが上位を独占している状況に比べれば、中国企業の快挙ともみえる。要因の1つは、価格的なメリットだけでなく、中国に根付いた販売方式および中国全土で構築した販売ネットワークにあるとみてよい。
また、中国のテレビメーカーは、外資系企業と技術提携を行うことで品質を着実に向上させており、外国ブランドとの技術的な差が狭まってきたことも軽視できない。
IT業界全体にいえることだが、中国企業は近年、知的財産権の保護と活用を重視する戦略をとっている。フラットテレビ市場を中国企業主導で進めることができるのか。中国のテレビメーカーは新たな挑戦に立ち向かう。(サーチナ・齋藤浩一)
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